フェノフィブラート「糖尿病網膜症の進行抑制」の適応承認 豪州で

2014.01.08
 高脂血症治療薬「リピディル」(一般名:フェノフィブラート)の「糖尿病網膜症の進行抑制」の適応がオーストラリアで承認された。2型糖尿病患者において、フェノフィブラートが糖尿病網膜症による光凝固療法(レーザー治療)の必要性を低減させることが、シドニー大学などの研究で明らかになっている。

 オーストラリア保健省医薬品行政局(TGA)は、早期の糖尿病網膜症がある2型糖尿病患者に対し、高脂血症治療薬「リピディル」(一般名:フェノフィブラート)の「糖尿病網膜症の進行抑制」の適応を承認した。

 フェノフィブラートは、中性脂肪(トリグリセライド)の低下作用、HDLコレステロールの上昇作用とともに、総コレステロール、LDLコレステロールの低下作用をもち、総合的に脂質代謝を改善するフィブラート系薬剤。オーストラリアでは10年の使用実績がある。

 今回の承認は、フェノフィブラート投与の効果を検討した2件の試験(「FIELD」と「ACCORD Eye」)の成果を受けたものだ。

 2型糖尿病患者9,795例を対象とした無作為割付比較試験「FIELD」では、フェノフィブラート群で光凝固療法の実施が有意に減少していたが、さらに光凝固療法の新規導入を31%、増殖網膜症を30%、光凝固療法の総回数を37%、それぞれ有意に減少させ、フェノフィブラートが2型糖尿病患者において、糖尿病網膜症の進行抑制効果を有することが示された(Lancet. 2007; 370: 1687-1697)。

 また、スタチン(シンバスタチン)治療を対照に、これにフェノフィブラートを追加投与した際の効果を検証した「ACCORD Eye」試験は、2型糖尿病患者2,856例を対象に行われた。フェノフィブラート追加投与群では、シンバスタチン群と比較して、糖尿病網膜症の進行が40%有意に抑制されており、NNTも27と有効性が確認された(N Engl J Med. 2010; 363: 233-244)。

 「フェノフィブラートは本来、脂質をコントロールする薬剤だが、2型糖尿病患者が服用した場合でも、心血管障害だけでなく細小血管に対しても恩恵をもたらすことが示唆された。レーザー治療を要する糖尿病網膜症に対するフェノフィブラートのこのようなはっきりとしたベネフィットは、2型糖尿病における厳密な血糖管理や血圧管理による便益に匹敵する。糖尿病網膜症においては光凝固療法を導入する前の早い段階でフェノフィブラートを導入することが望ましい」と、研究者は述べている。

大規模臨床試験「FIELD」オフィシャルサイト
オーストラリア保健省医薬品行政局(TGA)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料