全米規模の生活介入プログラムで糖尿病を予防 40万人が参加

2013.07.01
 積極的な生活介入プログラムで減量に成功した患者では、2型糖尿病の発症を顕著に抑えることができることが、40万人を対象とした臨床研究であきらかになった。研究成果は、第73回米国糖尿病学会(ADA)(6月21日~25日、シカゴ)で発表された。
第73回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会
 米国立衛生研究所の委託研究である「糖尿病予防プログラム(DPP)」は、食事や運動などの生活習慣を改善することで、2型糖尿病の発症リスクを低下することを目指した臨床研究。1対1の集中的な生活介入により、糖尿病を発症する危険性の高い予備群(prediabetes)の糖尿病発症を最大で58%低下し、高齢者では71%低下することが示された。

 研究成果をもとに集団指導に使用するテンプレートが開発され、地域に密着した生活指導が開始され、成果を上げ始めている。エモリー大学のサンドラ ジャクソン氏(栄養学・保健学)らの研究チームは、退役軍人を対象とした米国130ヵ所のVA医癌センターの約40万人の患者を対象に2005年に開始した「The MOVE! program」のデータを解析した。

 プログラムは週1回のセッションで構成され、糖尿病療養指導士、栄養士、運動指導士などの医師以外の医療従事者が中心となり継続された。

 その結果、生活介入を行わなかった集団では平均3年間に38%が2型糖尿病を発症したのに対し、研究開始時と比較し体重の2.7%(体重90kgの人では2.4kg)の減量に成功した集団では、糖尿病発症は18.7%に抑えられていた。

 「広範囲で糖尿病の有病率を低下させるためには、発症リスクの高い患者に有効なアプローチをする必要があります。今回の調査では、生活スタイルの改善を集団プログラムとして実行することが効果的であることが示されました」とジャクソン氏は話す。

 「6ヵ月で体重の2.7%の減量に成功した患者では、3年間におよび2型糖尿病の発症が低く抑えられていました。高年齢、過体重、運動不足といった悪条件が揃っている患者においても、食事や運動を中心とした生活スタイル改善が効果的であることが示されたのは良い知らせです」と述べている。

Study shows lifestyle change works in a large national healthcare system(エモリー大学 2013年6月24日)
Diabetes Prevention Program Study(DPP)

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