外来でインスリン療法を適切なタイミングで導入 ランタス発売10年で全国講演会

2013.03.14
 サノフィは3月2日、医師向けのセミナー「インスリン全国講演会2013」を都内で開催した。このセミナーは、同社の「インスリン グラルギン」(商品名:ランタス)の発売10年を記念して開催したもの。

 はじめにOpening Remarksとして渥美義仁先生(永寿総合病院糖尿病臨床研究センター長)が、インスリンの発見と製薬の歴史を振り返るとともに、「持効型溶解インスリンの登場は、糖尿病治療に新しい選択肢をもたらし、強化インスリン療法が完成された」とその役割を評価した。

 「ALOHAスタディ」は、日本人の2型糖尿病患者を対象としたランタスと経口血糖降下薬の併用療法(BOT療法)の安全性と有効性を調査した研究。経口血糖降下薬による治療において血糖コントロールが不十分な2型糖尿病の患者にランタスを1日1回追加投与するBOT療法では、多くの恩恵がもたらされることが示された。

 また、インスリン治療を開始した2型糖尿病患者を対象とした「CREDITスタディ」では、2型糖尿病患者に対する適切な時期のインスリン導入が、血糖コントロールを有意に改善することがあきらかになった。日本人患者では、インスリン開始時のHbA1cが低いほど、HbA1c目標値の達成率が高く、また、罹病期間が短いほどHbA1cが大きく低下することが確認された。

 講演会の第1部ではBOT療法について講演が行われた。はじめに「BOTの有用性」をテーマに鈴木大輔先生(東海大学医学部腎・内分泌・代謝内科学准教授)が、外来でのBOT療法について講演し、ランタスを使ったBOT療法を早期に開始することでHbA1c値が改善され、空腹時血糖値と随時血糖値が改善されることを示した。

 次に「Basal Plus、B2Bの有用性」をテーマに大工原裕之先生(坂出市立病院糖尿病内科部長)が、混合型インスリン1日2回投与で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者の治療をBOT療法に切り換え、血糖コントロールが改善された症例を紹介した。

 続いて「Basal Bolusの有用性」をテーマに横山宏樹先生(自由が丘横山内科クリニック院長)が、膵β細胞を保護し、厳格な血糖コントロールを達成する上でインスリン療法がいかに有用であるかを、自院の知見を交えながら解説した。

 BOT療法は、患者の運動量や生活環境も見据えて薬剤と投与量を決定することで「低血糖の軽減」、「体重増加の軽減」、「食後血糖値の軽減」、「インスリン投与量の軽減」といった便益をもたらすことを指摘した。

 第2部では主に1型糖尿病について、柳澤克之先生(市立札幌病院糖尿病内分泌内科部長)が講演を行った。超速効型インスリアナログ製剤の「インスリングルリジン」(商品名:アピドラ)は、作用発現までの時間が速く、作用時間が短いのが特徴となる。超速効型インスリンにより低血糖発生を防止できていると患者満足度調査も良好なことなどが報告された。

 次に「1型糖尿病の治療(小児)」をテーマに浦上達彦先生(駿河台日本大学病院小児科准教授)が、小児糖尿病のインスリン治療について講演した。小児1型糖尿病患者の多くは運動や食事摂取量が定まらないために、血糖コントロールに難渋する症例が少なくない。そのため乳幼児例であってもインスリン強化療法としてbasal-bolus療法が適用される症例が多くを占める。

 小児1型糖尿病では、超速効型インスリンを単に各食前に使用するだけではなく、患児の生活様式やTPOに応じてその注射法を選択することが大切であり、血糖コントロールの改善のみならず学校生活を主としたQOLの向上に極めて有用であると語った。

 最後にClosing Remarksとして河盛隆造先生(順天堂大学大学院スポートロジーセンター センター長)が登壇し、「2型糖尿病の患者さんでは、生活に重大な影響を与える糖尿病合併症をより効率的に予防するために、外来でインスリン療法を適切なタイミングで導入することが重要です。インスリンにより食後高血糖ならびに夜間・食間血糖値を正常域に維持することが、内因性インスリン分泌力の回復がもたらすると期待されます」とコメントを延べ、講演会は終了した。

サノフィ

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