ALOHAスタディのサブ解析 日本人対象に低血糖の発現率も検討

2012.12.10
 サノフィは、ランタス(一般名:インスリングラルギン)に関する大規模調査ALOHAスタディの新たな結果を、11月に京都で開催された第9回国際糖尿病連合(IDF)西太平洋地区会議で発表した。

 ALOHAスタディは、HbA1c(JDS)が7.5%以上12.0%未満の日本人2型糖尿病患者を対象とした、インスリングラルギンと経口血糖降下薬との併用時の安全性・有効性に関する、24週間の非介入観察調査。

 今回発表された試験結果の1つである「インスリングラルギンと経口血糖降下薬の併用による低血糖リスクを検討したサブ解析」では、24週間における低血糖の発生率は約1%(4,219例中44例)だった。

 さらに、そのうち37例(84.0%)の発現回数は1回であり、高齢や腎機能不全などの危険因子で多少の有意差はみられたが、全患者1人あたりの低血糖発現率は1.0%未満と低いことがあきらかとなった。

 試験結果について、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授の小田原雅人先生は、「高齢者や腎機能不全などの糖尿病患者は、医師や家族がその状態を注意深く見守る必要があるが、今回の解析からインスリングラルギンと経口血糖降下薬の併用が、2型糖尿病患者にとって低血糖のリスクが少ないインスリン療法の選択肢となるということが示された」と述べている。

 その他のALOHAスタディの4つのサブ解析は次の通り――

「日常診療におけるインスリングラルギンと経口血糖降下薬の併用例における糖尿病合併症と血糖コントロール」
 微小血管障害の有無と、インスリングラルギン・経口血糖降下薬併用による効果と安全性との関連を3,543例において検討したところ、HbA1c(NGSP)が7.0%未満に到達した患者の割合は、糖尿病合併症のない患者でもっとも高く(19.3%)、腎症と網膜症を併発している患者でもっとも低い(9.2%)ことがあきらかになった。
 また、腎症と網膜症を併発した患者では、低血糖の発現率ももっとも高い(3.4%)ことが示された。

「日常診療で基礎インスリン療法を実施中の2型糖尿病患者におけるインスリングラルギンへの切り替え」
 ALOHAスタディ開始時に、インスリン製剤と経口血糖降下薬の併用療法で十分な血糖コントロールが得られていなかった症例439例について、インスリン製剤をインスリングラルギンに切り替えたところ、大幅な体重増加や低血糖リスクの上昇を伴わずに、血糖コントロールが有意に改善された。また、インスリンの注射回数を減らせることも示された。

「日本人2型糖尿病患者における血糖コントロールと低血糖の発現頻度の肥満度(BMI)別解析」
 インスリングラルギンと経口血糖降下薬を併用している症例3,906例のHbA1c(NGSP)の低下と低血糖の発現率について、肥満度(BMI)別に25未満と25以上に分けて解析した。
 BMIに関係なくHbA1cは有意に低下し、重症低血糖の発現率が低いことが示された。さらに、BMIが25未満の患者は25以上の患者に比べてHbA1cの低下が大きいことも分かった。
 BMIが25以上の患者では、インスリン増量は中等度で、重症低血糖は多くないことから、25未満の患者と同等の治療結果を得るにはさらなる増量が必要であり可能であったことが示唆された。

「日本人2型糖尿病患者における血糖コントロールと低血糖の発現頻度の年代別解析」
 日常診療においてインスリングラルギンと経口血糖降下薬を併用している3,946症例について、患者背景やHbA1c(NGSP)値、空腹時血糖値、食後血糖値、低血糖発現率を年代別(65歳以上と65歳未満)に解析した。
 その結果、24週後、65歳以上群・65歳未満群ともにHbA1c、空腹時血糖値と食後血糖値の平均値は、試験開始時に比べ有意に低下し、その変化量は両群とも同程度だったが、HbA1cが7.0%未満に到達した患者の割合は、65歳以上群の方が65歳未満群より高いことがあきらかになった(19.1% vs.14.3%, p<0.001)。重症低血糖の発現率は両群とも極めて低く同程度だった(0.2%と0.05%)。
 比較的低いインスリングラルギンの平均1日用量(65歳以上群は8.8単位、65歳未満群は9.7単位)と目標達成率、極めて低い重症低血糖発現率とを考え合わせると、インスリンの用量調節をより積極的に行える可能性があることが示された。

サノフィ

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