GLP-1受容体作動薬「Lyxumia」が食後血糖値を有意に低下 基礎インスリンとの併用も

2012.10.16
 GLP-1受容体作動薬「Lyxumia(Lixisenatide)」の1日1回投与による胃排出時間の有意の遅延と、これに伴う食後血糖値の有意の低下に関する作用機序を示す研究結果が、第48回欧州糖尿病学会年次総会(EASD)で発表された。Lixisenatideを基礎インスリンと併用する治療法の臨床的根拠を裏付ける第3相試験の成績もあわせて発表された。

 Lixisenatideは、サノフィが開発中のGLP-1受容体作動薬。現在、2型糖尿病患者を対象とした治験が進行している。5,000人以上の患者が登録しているGetGoalプログラムで、Lixisenatideの申請に向けたデータ収集が行われている。

 2型糖尿病患者を対象とした28日間の無作為化二重盲検プラセボ対照並行試験では、標準的な朝食の摂取後にLixisenatide 20μg(最終用量)1日1回投与と最大2剤の経口糖尿病薬を併用したところ、プラセボ群に比べ胃排出時間の有意な遅延が認められた。

 この投与方法により、血糖値に対する薬力学的作用が1日を通じてみられた。胃排出時間の遅延に伴い、食後血糖値が低下し、28日目の食後血糖値は、標準的な朝食の摂取後、昼食後、夕食後ともに有意に低下した。

 ロイヤルアデレード病院(オーストラリア)のマイケル・ホロヴィッツ教授は、「胃排出時間、つまり食物が胃から腸へと送り出される速度はGLP-1が調節している。Lixisenatideのように胃排出時間の遅延効果を持続させ、これに伴い食後血糖値の有意な低下が得られる薬剤は、基礎インスリンの空腹時血糖に対する低下作用をもっとも良いかたちで補い、2型糖尿病の患者さんがHbA1cの目標値に到達できるようサポートすると考えられる」と述べている。

 EASDでは、「GetGoal Duo 1試験」と「GetGoal-L試験」の結果も発表された。両試験で、2型糖尿病患者におけるLixisenatideと基礎インスリンおよび経口糖尿病薬との併用(GetGoal Duo1試験では主にメトホルミンを併用、GetGoal-L試験ではメトホルミンの併用例と非併用例を検討)は、過去にインスリンの投与経験のない患者(インスリンの投与開始後12週間でLixisenatideを開始)、およびインスリンの投与経験のある患者(平均投与期間3.1年)のいずれにおいてもHbA1cが有意に低下した。

 両試験ではいずれもHbA1cの改善が得られ、併せて食後血糖値の有意の低下を認めた。Lixisenatideの投与例でもっとも多くみられた有害事象は軽度で、一過性の悪心や嘔吐で、低血糖のリスクは対照群よりやや高いか同程度だった。

 これらの試験はLixisenatideのGetGoal第3相臨床開発プログラムの一環として行われた試験で、さまざまな2型糖尿病患者を対象としており、基礎インスリンを併用する患者も3試験で706例含まれている。

 基礎インスリン療法は空腹時血糖値のコントロールに有効だが、糖尿病が進行すると一部の患者では目標値に到達するのが難しくなり、コントロール不良のHbA1cに対して追加の治療を行う必要が生じる。基礎インスリンとの併用で食後血糖値に優れた効果を発揮するGLP-1受動体作動薬は、このような患者に有益と考えられる。

サノフィ

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