メトグルコ錠 投与禁忌の患者で乳酸アシドーシス報告

2011.12.23
 大日本住友製薬はメトグルコ錠250mgについて、同剤の投与禁忌に該当する患者への投与例において乳酸アシドーシスの発現が報告されたのを受け、「適正使用のお願い」を公表した。

 同社はメトグルコの使用にあたり乳酸アシドーシスの発現を避けるため、2011年1月の「適正使用のお願い」を伝達し、2011年6月の添付文書の改訂で、高齢者、腎機能の悪化や脱水に関する注意喚起を実施するなど、適正使用を呼びかけているが、2011年11月末までに重篤な乳酸アシドーシスの症例が報告された。

 乳酸アシドーシスの症例として、飲酒量の増加、経口摂取不良、食欲不振や嘔吐などによる脱水症状が発現前に認められた例が報告された。また血液透析の施行中を含む重度の腎機能障害がある患者、慢性心不全で治療中の患者への投与例が報告された。

 メトグルコを投与した50代の男性(1500mg/日)および60代の男性(750mg/日)で乳酸アシドーシスが疑われる症状が発現した症例では、いずれも同剤の投与を中止し治療を開始した結果、乳酸アシドーシスが回復した。

 これらは「禁忌」に該当する患者であり、同社はメトグルコの投与に際しては「投与時チェックシート」を活用し、患者の状態を十分確認するよう注意を呼びかけている。

メトグルコの禁忌(次の患者には投与しないこと)
透析患者、中等度以上の腎機能障害のある患者には投与しない
 腎機能障害は乳酸アシドーシスの最も注意が必要な危険因子である。高齢者では、潜在的に腎機能が低下していることが多いことから、十分に患者の状態を観察すること。

脱水につながるような状態に注意する(下痢、嘔吐、発熱、シックデイなど)
 脱水状態が懸念される下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者への投与は禁忌である。発熱、下痢、嘔吐の場合、または食欲不振のため食事が摂れない(シックデイ)場合には、脱水をきたすおそれがあるので、投与の中止を検討すること。

過度のアルコール摂取は控えるよう患者に説明する
心血管系や肺機能に高度の障害がある患者には投与しない

 アルコールの摂取により肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスが起こりやすくなる。また、アルコールの利尿作用により脱水症状が起こる可能性がある。心血管系や肺機能に高度の障害がある患者には投与しないこと。

シックデイ
糖尿病患者が感染症などによる発熱、下痢、嘔吐をきたし、または食欲不振のため食事が摂れない場合をシックデイと呼ぶ。
シックデイに際してのビグアナイド薬の使い方の例:
シックデイの間は中止するが、それによって血糖値が上昇しないように、シックデイが続けば患者に来院させて投薬の変更等を考慮する。
(日本糖尿病学会編:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010, P. 248, 南江堂, 2010より抜粋)

メトグルコ錠250mg 適正使用のお願い(大日本住友製薬)-PMDA(医薬品医療機器総合機構)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

SGLT2阻害薬を高齢者でどう使うか 週1回注射のインスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防
糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病性腎症患者に対する療養支援 持続可能な糖尿病運動療法 苦労しています、服薬指導-短時間で患者の心を掴み、リスク回避! 進化する1型糖尿病診療 多職種連携による肥満治療
糖尿病と歯周病の最新エビデンス 甲状腺結節の日常臨床での取り扱い 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術の最新エビデンス- 骨粗鬆症 脂質異常症 コレステロール低下薬 がんと糖尿病
インスリンの種類と使い方 糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント[経口薬] インスリンポンプ・持続血糖測定器 血糖推移をみる際のポイント
糖代謝の調節機構 脂質の代謝 リン酸化によるシグナル伝達 タンパク質とアミノ酸の代謝

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料