リナグリプチン 低血糖を抑え血糖コントロールを持続的に改善

2011.12.19
 ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、1年間にわたるリナグリプチン単独療法の効果と安全性を検討した34週間の延長試験の結果を発表した。リナグリプチン単独療法は有害事象発現リスクを低く抑えつつ、血糖コントロールを持続的に改善することが示された。結果は、ドバイで開催された国際糖尿病連合(IDF)国際会議で報告された。

 メトホルミン不耐性もしくは投与禁忌の2型糖尿病患者を対象に、リナグリプチン投与群とグリメピリド投与群を比較したところ、リナグリプチン投与群のHbA1c値は、18週目では7.5%、52週目では7.4%と持続的な有効性を示した。持続的な有効性は、同試験の最初の試験期間終了後の18週目に、プラセボ投与群からグリメピリド投与群に切り替えた患者群でも示されている。有害事象の発現数は、リナグリプチン投与群の方が少ないという結果になった。

 低血糖症の発現率は、リナグリプチン投与群は2.2%と、グリメピリド投与群の7.8%と比べて有意に低かった。さらに、リナグリプチン投与群では体重の変化がみられなかった一方で、グリメピリド投与群では82.5 kgから85.0 kgと有意に増加した。

 また、8つの国際共同第3相臨床試験のプール解析結果では、リナグリプチンの心血管系の安全性プロファイルへの期待が示された。複合主要評価項目は、心血管死、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院だった。解析結果は、ベースライン時にフラミンガム・リスクスコアが最も高かった患者群の主要評価項目において、リナグリプチン投与群が各対照群と比べて69%のリスク減少を示した 。

 リナグリプチンの心血管系の安全性プロファイルについては現在、6,000人を対象としたCAROLINA試験(2型糖尿病患者を対象にリナグリプチンとグリメピリドを比較する心血管アウトカム試験)において検討されている。

 血糖コントロールが不十分な患者で、リナグリプチンとメトホルミンの併用療法で24週間にわたり治療した結果、HbA1c値は平均3.7%低下した。 また、有害事象を発現した患者割合は9%と忍容性は良好だった。低血糖症の発現した患者割合は1.5%だった。

 リナグリプチンについては、日本では2011年7月に食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病患者の治療薬(単独療法)として、日本ベーリンガーインゲルハイムが「トラゼンタ錠」5mgの製造販売承認を取得した。

日本ベーリンガーインゲルハイム
日本イーライリリー

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