第2選択薬はα-GI、DPP-4阻害薬 国立医療センター「糖尿病診療マニュアル」

2011.09.14
 国立国際医療研究センター糖尿病・代謝症候群診療部は9月1日付で、一般診療所・クリニック向けの「糖尿病標準診療マニュアル」改訂版(第4版)を公表した。同マニュアルは厚生労働科学研究 糖尿病戦略等研究事業班が昨年4月に策定したもので、国内外のエビデンスをふまえ、診断から診療、検査まで、経口糖尿病治療薬の選択基準などを含め、糖尿病診療の全般を解説しているのが特徴。

 第4版では、第2選択薬として推奨していたピオグリタゾン(「アクトス」)を、膀胱がん発症リスクに関する海外疫学研究結果など各種エビデンスをふまえ、推奨薬から外した。

第1選択薬はメトホルミン、SU薬、第2選択薬はα-GI、DPP-4阻害薬

 第1選択薬は従来通りメトホルミン、スルホニルウレア(SU)薬だが、メトホルミンについては同一成分の高用量品「メトグルコ」を使用できるようになったのにともない、用量を「500mg分2~2250mg分3」とした。SU剤は欧州の観察研究で心血管系疾患の予防効果がメトホルミンと同等だったグリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)を示した。腎機能低下・高齢など低血糖を起こしやすい場合の推奨薬も、同観察研究をふまえレパグリニド(シュアポスト)に切り替えた。

 第2選択薬としては、α-グルコシダーゼ(GI)阻害薬ではアカルボース(グルコバイ)、DPP-4阻害薬ではシタグリプチン(グラクティブ、ジャヌビア)、チアゾリジン薬としてピオグリタゾン(アクトス)を推奨した。

 ピオグリタゾンについて、「海外研究で膀胱がん発症リスクが報告された」、「体重増加・浮腫などの事象があらためて報告された」などの理由で、「処方する場合は、添付文書に基づいて説明し患者の同意をとること」、「新規処方する場合は他に選択薬がなく、インスリン抵抗性が高い症例に限定することが望ましい」とした。

 同マニュアルは同病院の糖尿病・代謝症候群診療部と糖尿病情報センターのホームページで公開されている。アクトスの膀胱がんリスクの詳細情報以外に、合併症・予後について「歯周病治療により血糖管理は改善」、「足潰瘍の既往により死亡リスクが高まる可能性」、「糖尿病により発癌のリスクが増加」、「糖尿病により股関節部骨折のリスクが増加」などの情報を公開している。

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