オルメサルタンが2型糖尿病患者で微量アルブミンの発症を抑制

2011.03.11
 欧州で2型糖尿病性患者を対象とした大規模臨床試験が行われ、アンジオテンシンII受容体拮抗薬「オルメサルタン」(国内製品名:オルメテック)が糖尿病性腎症の発症を抑制することが明らかになった。米国医学誌「New England Journal of Medicine」3月10日号に発表された。

 発表されたのは、欧州で糖尿病性患者を対象に行われた多施設大規模臨床研究「ROADMAP試験」の成果。この国際共同試験は、Haller教授(ドイツ、ハノーバー)を中心に12人の委員により行われ、日本では東北大学大学院医学系研究科伊藤貞嘉教授(腎・高血圧・内分泌学、附属創生応用医学研究センター先進統合腎臓科学コアセンター)と埼玉医科大学の片山茂裕教授(病院長)が委員を務めた。

 糖尿病性腎症の発症を予防するためには血糖と血圧を厳格に管理することが重要となる。糖尿病患者は高血圧を伴うことが多く、降圧薬治療が多く行われている。これまで、糖尿病性腎症の発症予防に、血圧の管理とともにアンジオテンシンの作用を抑制することが有効であることが示唆されていた。

 試験では、対象となった2型糖尿病患者4447例を、無作為にオルメサルタン2232例、プラセボ2215例の2群に分け、一方にはアンジオテンシン受容体拮抗薬のオルメサルタンを含む降圧治療を行い、他方にはオルメサルタンを含まない降圧治療を行って、微量アルブミン尿の発症の違いを検討した。

 両群とも血圧は130/80mmHg未満を80%が達成し良くコントロールされたが、オルメサルタン群では微量アルブミン尿の発症が23%抑制された。このことにより糖尿病性腎症の発症抑制には、血圧の管理とともにアンジオテンシンの作用を抑制することが重要であることがはじめて示された。

Olmesartan for the Delay or Prevention of Microalbuminuria in Type 2 Diabetes
オルメサルタンは2型糖尿病患者で微量アルブミンの発症を抑制または遅延させる
New England Journal of Medicine, 364:907-917March 10, 2011
糖尿病性腎症の発症抑制(東北大学大学院医学系研究科、3月8日)

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