SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン」がHbA1c値を低下 海外で第3相試験
2010.09.24
ブリストルマイヤーズスクイブとアストラゼネカは9月20日、SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン」(dapagliflozin)の海外で実施した第3相臨床試験の結果を発表した。2型糖尿病の成人患者を対象とした無作為試験で、グリメピリド(SU薬)にダパグリフロジンを追加すると、グリメピリド単独の場合に比べ、HbA1c値が大きく改善することが示された。この試験結果は第46回欧州糖尿病学会(EASD)年次会合で報告された。
HbA1c値7%以下が3割超に改善し体重減も
グリメピリドとプラセボの併用に比べ、ダパグリフロジンとグリメピリドの24週時の併用により、副次的効能エンドポイントである総体重、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、空腹時血糖(FPG)値がベースラインから低下した。HbA1c値目標の7%以下を達成した比率も高かった。 ダパグリフロジンは、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤薬で、ブリストルマイヤーズスクイブとアストラゼネカが2型糖尿病の成人患者向けの1日1回経口投与治療薬として開発中で、第3相試験が実施されている。SGLT2阻害剤はインスリン作用と独立して働き、グルコースを尿中に排出し血糖値を低下させる作用機序をもつ。 主任研究者であるシュレージエン医科大学(ザブルゼ)のKrzysztof Strojek内科糖尿病・腎臓病学教授は「2型糖尿病では血糖コントロールが徐々に悪化することが多く、薬物療法の追加による治療が必要になることが多い。今回の第3相試験で、ダパグリフロジンを通常の経口血糖降下薬(グリメピリド)に追加することで、HbA1c、FPG、食後血糖(PPG)が改善することが示された」と述べている。 この第3相試験は2型糖尿病の成人患者を対象に、24週間の無作為・並行・プラセボ方式で実施されている。グリメピリド単独の最大推奨投与量の半分以上を投与した、HbA1c値が7.0%以上の597人の2型糖尿病患者が含まれている。グリメピリド(1日4mg)にダパグリフロジン(1日2.5mg、5mg、10mg)を追加併用した場合の効能をプラセボと比較し評価するように設計された。 患者はダパグリフロジン2.5mgとグリメピリドの併用、ダパグリフロジン5mgとグリメピリドの併用、ダパグリフロジン10mgとグリメピリドの併用、プラセボとグリメピリドの併用の4グループに無作為で分けられた。 主要エンドポイントとして、24週時点のHbA1c値のベースラインからの変化を評価した。重要な副次エンドポイントとして、24週時点でのベースラインからの体重の変化、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、HbA1c値の7%以下を達成した患者の割合、空腹時血糖値(FGP)の低下を設定した。 その結果、ダパグリフロジンとグリメピリドを投与された患者は、ダパグリフロジンの投与量に応じてHbA1c値がベースラインから減少し、ダパグリフロジン2.5mgでは-0.58%、5mgでは-0.63%、10mgでは-0.82%がそれぞれ減少したのに対し、プラセボとグリメピリドでは-0.13%にとどまった(p値はそれぞれ0.0001以下)。 ダパグリフロジンとグリメピリドの併用では、プラセボとグリメピリドの併用に比べ大幅な体重減少を達成。24週時点でダパグリフロジン2.5mg、5mg、10mgグループがそれぞれ-1.18kg、-1.56kg、-2.26kgだったのに対し、グリメピリドとプラセボのグループは-0.72kgだった(p値はダパグリフロジン5mg、10mgでそれぞれ0.01以下、0.0001以下。ダパグリフロジン2.5mgのp値は統計的に意味がなかった)。 OGTTはダパグリフロジンとグリメピリドによる治療を受けた患者ではベースラインから減少した。プラセボとグリメピリドのグループが-6.0mg/dLだったのに対し、ダパグリフロジン5mg、10mgグループはそれぞれ-32.0mg/dL、-34.9mg/dLだった(ダパグリフロジン5mg、10mgグループのp値はそれぞれ0.01以下、0.0001以下)。ダパグリフロジン2.5mgグループはOGTTが37.5mg/dL減少した。 24週時点でHbA1c値の7%以下を達成した患者はプラセボとグリメピリドを受けたグループより、ダパグリフロジンとグリメピリドを受けたグループで多かった。グリメピリドとプラセボのグループが13.0%だったの対しダパグリフロジン5mg、10mgグループはそれぞれ30.3%、31.7%だった(ダパグリフロジン5mg、10mgのp値はそれぞれ0.01以下、0.0001以下)。ダパグリフロジン2.5mgのグループは26.8%がHbA1c値の7%以下を達成した。 FPGはダパグリフロジン5mg、10mgとグリメピリドで治療を受けた患者でベースラインから改善した。ダパグリフロジン5mgでは-21.2mg/dL、ダパグリフロジン10mgでは-28.5mg/dLだったのに対し、プラセボとグリメピリドのグループでは-2.0mg/dLだった(両グループともp値は0.0001以下)。ダパグリフロジン2.5mgのグループではFPGは-16.8mg/dLだった。 深刻な有害事象は、ダパグリフロジン2.5mg、5mg、10mg、グリメピリドとプラセボのグループで、それぞれ7.1%、6.9%、6.0%、4.8%認められた。尿路感染と生殖器感染を示唆する有害事象は、3.9%、6.9%、5.3%、6.2%。尿路感染のため治療を中止した患者は1人。泌尿器感染を示唆する兆候などの報告は、3.9%、6.2%、6.6%、0.7%だった。24週時点で低血糖事象の認められた患者の割合はそれぞれ7.1%、6.9%、7.9%、4.8%だった。 24-Week Phase 3 Study Found Investigational Drug Dapagliflozin Improved Glycosylated Hemoglobin (HbA1c) When Added to Glimepiride in Adults with Type 2 Diabetes Mellitus(Business Wire)* 記事中のHbA1c値は全て国際標準値です。
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]