DPP-4阻害薬「リナグリプチン」の第3相試験データ 低血糖増やさずHbA1cを改善

2010.06.28
 ベーリンガーインゲルハイムが開発中のDPP-4阻害薬「リナグリプチン」の第3相臨床試験データが、このほど第70回米国糖尿病学会(ADA)で発表された。リナグリプチンは、2型糖尿病を適用とする1日1回投与の経口治療薬で、腎臓からの排泄が5%と少ないことが特徴となる。

 リナグリプチンの第3相臨床試験データが発表されるのは今回が初めて。リナグリプチンはHbA1c値や血糖コントロールを有意に改善し、持続的な血糖コントロールをもたらすことが確かめられ、β細胞機能の改善も認められた。

 その結果、全般的に有害事象発現率はプラセボと同等で、リナグリプチンの単独投与、メトホルミンとの併用、ピオグリタゾンとの併用で、低血糖リスクの増加が認められなかった。さらに、体重増や薬物相互作用によるリスクの増加がないとの安全性データが得られた。

 リナグリプチンの血漿中濃度は、軽度から中等度の腎障害のある糖尿病患者と、腎機能が正常な糖尿病患者とで同程度だった。このことはリナグリプチンの主要な排泄経路が腎ではなく、同クラスの薬剤の中で特異的な薬理学的特徴をもつことを示したもの。リナグリプチンが2型糖尿病患者の腎障害の程度にかかわらず、用量調整を必要としない可能性を示唆している。

DPP-4阻害薬の作用機序(英語)(YouTube)
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 日本人の2型糖尿病患者を対象とした12週と26週のランダム化二重盲検比較試験の結果も公表した。ベースラインのHbA1c値は、薬物で治療されていない患者で7.0%~10.0%、薬物で治療されていた患者で7.0%~9.0%だった。リナグリプチンの有効性、安全性および忍容性を、プラセボ、または、ボグリボースを対照に検討した。

 12週の試験では、平均HbA1c値の変化はリナグリプチン5mg群とプラセボ群とのあいだで-0.87%、リナグリプチン10mg群とプラセボ群とのあいだで-0.88%という結果になった。HbA1c7.0%未満の目標を達成した患者の割合は、リナグリプチン5mg群で26.4%、リナグリプチン10mg群で35.7%、対するプラセボ群は10.0%だった。

 26週の試験では、ベースラインからのHbA1c値の平均変化量の差は、リナグリプチン5mg群とボグリボース群の間で-0.32%、リナグリプチン10mg群とボグリボース群の間で-0.39%という結果になった。胃腸障害の副作用発現率は、ボグリボース群で14.2%に比べ、リナグリプチン5mg群で8.2%、リナグリプチン10mg群で8.1%とそれぞれ有意に低かった。

日本ベーリンガーインゲルハイム(株)

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