インクレチンとSU薬の適正使用:「ネシーナ」と「ビクトーザ」を追加 日本糖尿病学会
2010.06.17
日本糖尿病学会「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」は、DPP-4阻害薬のアログリプチン(製品名:ネシーナ)、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(製品名:ビクトーザ)について、SU薬と併用するときは慎重な取り扱いが必要で、重篤な低血糖発現に対する注意を呼びかける勧告を公表した。
すでに発売されていたインクレチン関連薬についての勧告を改訂したもので、6月16日付で学会ホームページで公表された。DPP-4阻害薬のシタグリプチン(製品名:ジャヌビア/グラクティブ)、ビルダグリプチン(製品名:エクア)については、すでにSU薬併用時の注意喚起を促している。
アログリプチンは、現在のところSU薬との併用は適応となっていないが、同じDPP-4阻害薬であり、十分な注意が必要としている。ビルダグリプチンもいまのところ、SU薬以外との併用は認められていない。
同委員会はすでに、特に、65歳以上の高齢者や軽度腎機能低下者(Cr1.0mg/dL以上)の患者については、シタグリプチン、ビルダグリプチンを追加する際には、SU薬を減量することを必須としている。ただし、併用後に血糖コントロールが不十分な場合は、必要に応じてSU薬を増量するとしている。
また、6月11日発売のリラグルチドはGLP-1受容体作動薬であり、DPP-4阻害薬に比べより作用が強力とみられるので、SU薬併用時にはより慎重な取り扱いが必要としている。臨床試験の結果によると、SU薬併用の場合、投与早期から低血糖が発現しているという。
そのうえで、リラグルチドは段階的に投与量を増加するため、最大量(0.9mg)に達してから、「暫くの間、慎重な観察が必要」と指摘。SU薬と併用しリラグルチドを増量する際には、2週間後の受診を求め、「糖尿病専門医が低血糖について十分に確認した上で、リラグルチドを増量すべき」としている。
社団法人日本糖尿病学会
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]