糖尿病患者の運動療法を支援 デジタルヘルスによる介入と支援は効果的 運動の開始と継続が向上
モバイル技術を用いた健康サポート(mHealth)が新たに診断された糖尿病患者の身体活動の促進に有用とする、英バーミンガム大学のKatie Hesketh氏らの報告が「BMJ Open」に3月26日掲載された。

身体活動の有用性に関しては強固なエビデンスが存在するが、その推奨を満たしていない患者が少なくない。一方で近年、身体活動量を計測可能なウェアラブル技術とスマートフォンなどのモバイル端末を併用することで、患者に身体活動を促す「mHealth」の応用が試みられている。
mHealthでは、リアルタイムで計測された身体活動データを患者へフィードバックして目標との乖離を可視化し、その乖離を埋めるための具体的な身体活動を促すことなども可能となる。
Hesketh氏らは、このようなmHealthを用いた介入の有用性を、診断から間もない2型糖尿病患者を対象とする、多施設並行群間ランダム化比較試験で検討した。
研究参加者は英国とカナダから募集された、診断後5~24ヵ月でメトホルミン以外の血糖降下薬が処方されていない、年齢40~75歳の患者135人。ランダムに半数ずつの2群に分け、1群をmHealth群として、スマートフォンの健康アプリと連動しているスマートウォッチを装着して生活してもらった。
健康アプリは、参加者の身体活動量を計測しつつ、運動を促すようなガイド機能を備えていた。たとえば、参加者の運動量を徐々に増やしていき、6ヵ月以内に週当たり150分の中~高強度運動が達成されるようなプログラムを有していた。
なお、両群ともに、参加者のニーズに応じて、運動の専門家によるオンラインサポートを受けることができた。
介入を終了したのは125人(平均年齢55±9歳、女性48%、罹病期間13±6ヵ月)だった。介入期間中に治療目的をもった身体活動を開始した患者は、mHealth群の方が有意に多かった[オッズ比(OR) 10.4、95%信頼区間 3.4~32.1]。また、身体活動を継続していた患者も6ヵ月時点[OR 7.1、同 3.2~15.7]、12ヵ月時点[OR 2.9、同 1.2~7.4]ともに、mHealth群の方が有意に多かった。
HbA1cや収縮期血圧についても、mHealth群の改善傾向の方がより顕著だった。具体的には、HbA1cの低下率(ベースライン値を100とする変動率)の対照群との群間差は、6ヵ月時点で-5%[同 -10~2]、12ヵ月時点で-2%[同 -8~4]であり、収縮期血圧の低下幅の群間差は、6ヵ月時点で-1mmHg[同 -5~3]、12ヵ月時点で-4mmHg[同 -8~1]だった。
[HealthDay News 2025年4月8日]
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