1型糖尿病の発症を遅らせる「teplizumab」 膵β細胞機能を維持 ISPAD2023で発表

2023.11.02
1型糖尿病診断直後のteplizumab投与でβ細胞機能を維持

 米国で1型糖尿病発症遅延目的で用いられているteplizumabを、診断後の早期に投与した場合も、膵β細胞機能の低下を抑制し得るとする研究結果が報告された。

 米Provention Bio社のEleanor L. Ramos氏らの研究によるもので、国際小児青年糖尿病学会年次学術集会(ISPAD2023、10月18~21日、オランダ・ロッテルダム)で発表されるとともに、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に10月18日掲載された。

 TeplizumabはProvention Bio社が開発したFc受容体非結合性抗CD3モノクローナル抗体であり、昨年11月にFDA承認された。成人および8歳以上の小児に投与可能で、ステージ2(血糖異常が生じ始めた状態)からステージ3(1型糖尿病と診断される状態)への進行を遅延させる。今回発表された報告は、同薬を1型糖尿病診断前ではなく、診断後早期(ステージ3)に投与した場合の膵β細胞機能や臨床指標への有効性、および安全性を検討した、第3相無作為化プラセボ対照試験の結果。

 研究対象は、8~17歳の新規発症(診断から6週間以内)1型糖尿病患者328人。主な特徴は、平均年齢12.1±2.5歳、男子57.3%、HbA1c9.00±1.80%、インスリン投与量0.426±0.293U/kg/日、1型糖尿病と診断後の罹病期間5.3±0.8週、食事負荷後4時間のC-ペプチドのAUCは0.738±0.350pmol/mL。Teplizumab群(217人)とプラセボ群(111人)に無作為に二分し78週間追跡。主要評価項目はC-ペプチドで評価したβ細胞機能のベースラインからの変化であり、副次的に血糖管理に必要とされるインスリン投与量、HbA1c、低血糖リスクなどを評価した。Teplizumabとプラセボは、1コース12日間とし26週間隔で2コース投与した。

 78週後に行った食事負荷試験の結果、C-ペプチドのAUCの低下幅はteplizumab群の方が少なく、最小二乗平均の差は0.13pmol/mL(95%信頼区間0.09~0.17)であり有意差が認められた(P<0.001)。また、臨床的に意味のあるピーク時C-ペプチドレベル0.2pmol/mL以上の割合は、プラセボ群が79.2%(67.7~87.4)であるのに対してteplizumab群は94.9%(同89.5~97.6)であり有意に高かった。副次的評価項目には有意差が見られなかった。

 有害事象はteplizumab群の99.5%、プラセボ群の97.3%で発生した。大半は一過性であり、投与中止に至った割合は同順に6.9%、2.7%だった。Teplizumab群では、頭痛、消化器症状、発疹、リンパ球減少症、軽度のサイトカイン放出症候群などが報告された。臨床的に重要な低血糖(54mg/dL未満または他者の介助を必要とする低血糖)は、teplizumab群の13.4%、プラセボ群の16.2%に認められた。

 著者らは、「診断後6週間以内のステージ3に該当する新規1型糖尿病患者において、teplizumabの静脈内投与を12日間×2コース投与することで、78週後のC-ペプチドレベルが対プラセボで有意に改善した」と総括している。

 なお、数人の著者が、teplizumabの開発企業であり本研究に資金提供した米Provention Bio社、仏Sanofi社を含むバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2023年10月23日]

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