【新型コロナ】DPP-4阻害薬が新型コロナに罹患した糖尿病患者の死亡率を低下させる可能性
COVID-19パンデミックの当初から、2型糖尿病は重症化リスク因子の一つであることが明らかになっており、COVID-19罹患2型糖尿病患者の予後改善につながる治療アプローチの探索が続けられている。この状況を背景として本研究は、入院治療を要するCOVID-19罹患2型糖尿病患者を対象とする、多施設共同症例対照後方視的観察研究として実施され、シタグリプチンの有用性が検討された。
研究の対象は、COVID-19治療のため2020年3月1日~4月30日に、北イタリア地方の複数の病院で入院治療が行われた2型糖尿病患者338人。入院前から行われていた糖尿病の標準的治療に加え、入院時にシタグリプチンが追加投与されていた患者と、それまでの標準的治療のまま継続されていた患者を、年齢と性別を一致させた上で、1対1の割合で各群169人を登録した。全ての患者は肺炎を合併しており、ルームエアーまたは酸素サポート下でのSpO2が95%未満だった。
主要エンドポイントは、退院または死亡、および臨床転帰の改善。臨床転帰については、再入院の要否、酸素投与の要否、侵襲的呼吸管理の要否など7項目をスコア化し、2ポイント以上上昇した場合を改善と定義した。
その結果、死亡率についてはシタグリプチン追加群18%、標準的治療継続群37%だった〔ハザード比(HR)0.44(95%信頼区間0.29~0.66)、P=0.0001〕。臨床転帰が改善した割合は同順に60%、38%(P=0.0001)、退院者数は120人、89人(P=0.0008)であり、いずれもシタグリプチン追加群の方が良好で、有意な群間差が認められた。
背景因子で層別化したサブグループ解析からは、年齢、性別、BMI、HbA1cによる有意な交互作用は認められず、シタグリプチンの有用性は一貫していた。
著者らは、「入院時のシタグリプチン追加投与は、死亡率の低下と臨床転帰の改善に関連していた。この有用性について、プラセボ対照無作為化比較試験での検証が求められる」と述べている。
[HealthDay News 2021年10月14日]
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