日本肥満学会が「安全な減量に関するステートメント」を公表 GLP-1製剤での減量によるケトーシス関連事象を注意喚起

学会は、GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬などのインクレチン関連薬について、肥満症診療を大きく変化させた一方、「減量は容易に達成できる」という認識をもたらし、減量行動のリスクに対する意識を希薄にしている可能性を指摘。加えて、これらの薬剤が肥満症や2型糖尿病、その他の肥満に関連する健康障害を有さない例に対して減量目的で使用される事例が増加しているといい、そのような適応外使用で生じる健康障害は、薬剤固有の副作用のみならず、過度の食事制限や急速な減量などリスクの高い減量行動が関与していると考えられるものも少なくないとしている。
学会によると、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用データベースや国内外の報告において、インクレチン関連薬の使用中に発症したケトーシスやケトアシドーシスなどの事象が多数報告されている。このような事象は、従来、不用意なインスリン減量など、不適切な糖尿病治療に伴って発症することが知られていたが、近年では2型糖尿病や肥満症を有さない例への減量目的での使用によって、脱水や低血糖とともにケトーシスやケトアシドーシスが発生した例の報告が増加しているという。
これらのケトーシス関連事象は、インクレチン関連薬を用いて過度な食事制限や急激な減量を行うといった、リスクの高い減量行動が発症に関わると考えられるとして、学会は注意喚起している。また、ケトーシス関連事象の代表的な症状である悪心や嘔吐などの消化器症状が、インクレチン関連薬の一般的な副作用と誤認されることで、適切な対応が遅れる可能性があることへの懸念も示している。
上記を踏まえ、学会は以下の見解を示している。
- インクレチン関連薬を処方する際には、医療者・薬剤使用者の双方が、ケトーシス関連事象に代表される不適切な減量行動による健康障害について十分に認識することが必要である。
- 急激な減量や過度の食事制限を実現・維持する手段として、これらの薬剤を用いるべきではない。
- 処方時には、本ステートメント別紙「GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を減量目的で使用される方へ」等を活用し、適切な対応について十分な説明を行うべきである。
なお同学会は、ステートメント発出の目的は、減量に伴う健康上のリスクについて注意を喚起し、安全な減量の重要性を周知することであり、適応外の薬剤を用いた減量を推奨するものではないことを強調している。




