心腎代謝症候群に関する新ガイドラインを策定

2026.06.29
心腎代謝(CKM)症候群に関するガイドラインが策定され、「Circulation」および「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に6月9日掲載された。2013年に米国心臓協会(AHA)や米国心臓病学会(ACC)などによって策定されていた、成人における過体重・肥満の管理に関するガイドラインに置き換わるもので、AHA、ACCのほかに米国糖尿病学会(ADA)と米国腎臓学会(ASN)が策定に関与した。

 米ジョンズ・ホプキンス大学のChiadi E. Ndumele氏らは包括的な文献レビューを実施。CKM症候群の病期分類、リスク評価、個別化治療などに関して、CKM症候群の診療に当たる臨床医向けの推奨をまとめた。このガイドラインの主な要点は以下のとおり。

 CKMの進行予防、絶対リスクに応じた治療、心血管疾患(CVD)イベントと腎機能低下のリスク抑制、および生活習慣の改善と減量によって、より低いCKMステージへ導くため、小児・若年者と成人に対するCKM症候群へのステージ分類の適用が推奨される。CVDリスクを有する対象(CKM症候群ステージ0~3)には、PREVENT予測式(動脈硬化性心血管疾患〔ASCVD〕、心不全、総CVDの10年および30年リスクの予測式)によりイベントリスクを定量的に評価することが推奨される。

 全ての成人に対して、代謝リスク因子と腎機能の定期的な評価、および心不全前段階、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の選択的評価が推奨される。CKM症候群とその合併症の発症に密接に関与する、健康の社会的決定要因(SDOH)についても定期的な評価が推奨される。

 2型糖尿病(T2D)、慢性腎臓病(CKD)、CVDを併存している患者に対しては、患者中心のケアを促進するため学際的なケアモデルの適用が推奨される。過体重・肥満、腹部肥満の評価に際しては、BMIとウエスト周囲長の双方を用いることで、過剰な脂肪蓄積に伴うリスクを評価することが推奨される。また、過体重および肥満に対処するために、生活習慣の改善への支援とともに、必要に応じて肥満薬物療法や代謝・減量手術を併用することが求められる。

 CVDとT2Dを合併している患者、またはCVD高リスクのT2D患者では、生活習慣改善、体重管理、リスク因子管理に加えて、心腎転帰改善のためにSGLT2阻害薬(SGLT2-i)、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を含む心血管保護作用のある血糖降下療法の適用が推奨される。CKDの重症度評価と、心腎保護効果を有する薬剤の適切な使用のために、推定糸球体濾過量(eGFR)と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)双方の使用が推奨される。

 CKDとT2Dを合併している患者、またはCKDとアルブミン尿を認める患者には、レニン・アンジオテンシン系阻害薬(RASi)とSGLT2-iを第一選択薬とする。CKDとT2Dを合併している患者でアルブミン尿が持続する場合は、心腎保護を強化するために、非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)またはGLP-1RAベースの治療を追加する。

 このほかに、ASCVDの管理においては、肥満やCKD、T2DなどCKM症候群関連の併存症にも重点を置くべきであること、心不全患者ではCKMリスク因子を管理に組み込むべきであることなどの推奨が掲げられている。

 Ndumele氏は、「われわれは、さまざまな専門分野の臨床医が共通の言語で会話をして、特に体重管理とその臨床的影響に関し、同じ認識を持てるようになることをサポートしたいと考えている」と述べている。

[HealthDay News 2026年6月16日]

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