【新型コロナ】未成年COVID-19罹患者で糖尿病リスクが上昇
この研究は、医療費請求データベースを用いた後方視的コホート研究として行われた。用いたデータベースは、IQVIAヘルスケアとHealthVerityの2件。
IQVIAヘルスケアのデータには、2020年3月1日~2021年2月26日にCOVID-19と診断された未成年患者が8万893人(平均年齢12.3歳、女性50.1%、入院を要した患者0.7%)記録されていた。COVID-19罹患以前から糖尿病による受療行動が記録されていた患者を除外し、COVID-19罹患30日目以降の糖尿病による受療記録がある場合を「糖尿病の新規発症」と定義した。なお、一過性の高血糖はこの定義に含められていない。
この条件に合致する糖尿病の新規発症者数は68人で、罹患率は10万人年当たり316だった。それに対して、年齢と性別を一致させた、前記と同期間の非COVID-19既往者では同118であり、COVID-19既往者の糖尿病罹患リスクは166%高かった〔ハザード比(HR)2.66(95%信頼区間1.98~3.56)〕。
また、パンデミック前のCOVID-19以外の急性呼吸器感染症(ARI)既往者の糖尿病罹患率は10万人年当たり126であり、COVID-19既往者の方が116%高かった〔HR2.16(同1.64~2.86)〕。パンデミック前の非ARI既往者の糖尿病罹患率は10万人年当たり125であり、ARI既往者と有意差がなかった〔HR0.99(同0.84~1.15)〕。
このほかに、COVID-19罹患後に糖尿病を発症した患者の48.5%に、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)による受療記録が認められた。なお、パンデミック中にCOVID-19既往のない糖尿病新規発症者でのDKAによる受療者率は13.6%、パンデミック前のARI既往者では22.0%、パンデミック前の非ARI既往者では27.5%だった。
COVID-19既往未成年の糖尿病罹患リスクの高さは、以下に示すように、HealthVerityのデータの解析からも明らかになった。HealthVerityには、2020年3月1日~2021年6月28日に、PCR検査で陽性判定された未成年患者が43万9,439人(平均年齢12.7歳、女性50.1%、入院を要した患者0.9%)記録されていた。糖尿病罹患率は、非COVID-19既往者では10万人年当たり304であるのに対して、COVID-19既往者では同399であり、31%高かった〔HR1.31(95%信頼区間1.20~1.44)〕。
著者らは、「これまで成人を対象とする研究からは、COVID-19罹患後に糖尿病発症リスクが上昇することが示されていたが、本研究から18歳未満の未成年も同様であることが示唆される」と結論。その上で、「この研究結果から、ワクチン接種対象年齢の全ての未成年への接種を進めることの重要性、およびCOVID-19罹患後の糖尿病予防の重要性が明らかになった」と述べている。
[HealthDay News 2021年1月21日]
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