「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」を公開 日本環境感染学会

2020.02.14
 日本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」の公開を開始した。

一般の医療機関向け 高齢者介護施設でも参考にできる内容

 2019年12月に中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、急激な勢いで感染者数が増加している。日本では指定感染症に指定され、対策がとられているが、現時点ではまだ感染が拡大する傾向にあり、国内の一般の医療機関でも感染例や疑い例が受診する可能性を考慮せざるを得ない段階に入っている。

 こうした状況の中、日本環境感染学会(理事長:吉田正樹)は、医療機関の診療および感染対策で適切な対応をとるための一助になるよう、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を2月12日に発表し公開を開始した。

 同ガイドの主な対象は一般の医療機関だが、高齢者介護施設でも基本となる感染対策の参考にできる内容になっている。ガイドの内容は随時アップデートされる予定。

 同ガイドでは、新型コロナウイルスについて「特徴」「発生状況」「臨床的特徴(病態、症状)」「診断」「治療・予防」「感染対策」「国内における患者の診療体制」「法律上の規定」「相談窓口、問い合わせ先」「参考文献、情報」の項目に分けて解説。

 「感染対策」では、(1)標準予防策の徹底、(2)感染経路別予防策、(3)外来患者への対応、(4)トリアージ、(5)入院患者への対応、(6)環境消毒、(7)換気、(8)職員の健康管理――という8項目にわたり具体的な対策を挙げている。

 標準予防策や外来患者への対応として、下記のように感染対策の行動事項を示している――。

「感染対策上重要なのは、まず呼吸器衛生/咳エチケットを含む標準予防策の徹底です。ウイルスを検出する検査を行わなければ感染例と非感染例を明確に区別することはできませんので、全ての患者の診療において、状況に応じて必要な個人防護具(PPE)を選択して適切に着用してください。」

「コロナウイルスはエンべロープを有するため、擦式アルコール手指消毒薬は新型コロナウイルスの消毒にも有効です。手指衛生は適切なタイミングで実施してください。」

「通常の一般外来で発熱患者に対応する職員は、常時マスクを着用し、手指衛生の徹底をはかります。」

「外来に多くの発熱患者が訪れた場合は、インフルエンザ流行期の対応に準じて、外来で適切な場所を確保して他の患者との距離を保つように工夫します。」

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