リリーの新規の超速効型インスリン「URLi」 1型・2型糖尿病の第3相臨床試験で有効性に関する主要評価項目を達成 食後血糖値の改善効果も
2018.10.17
イーライリリー・アンド・カンパニーは、新規の超速効型インスリン「URLi」(Ultra Rapid Lispro)の2つの第3相臨床試験の結果を発表した。「URLi」はヒューマログの有効成分であるインスリン リスプロの皮下からの吸収を早めた製剤。「URLi」は、「ヒューマログ」(インスリン リスプロ)と比較して、1型および2型糖尿病患者のベースラインからのHbA1c減少で非劣性を示し、また食後血糖コントロールを有意に改善した。
食後血糖値の改善を目指してデザインされた超速効型インスリン
「URLi」はリリーが開発した新規の「食事時インスリン製剤」。自然なインスリン動態により近づけることで、良好な食後血糖コントロールが行えるよう開発された。 「PRONTO-T1D」試験および「PRONTO-T2D」試験は、それぞれ1型および2型糖尿病成人患者を対象とし、新規の超速効型インスリン「URLi」およびヒューマログ(インスリン リスプロ)を、インスリン グラルギンまたはインスリン デグルデクと併用した無作為化二重盲検対照treat-to-target比較試験。それぞれ1,222名および673名が参加した。 両試験の主要目的は、ベースラインから投与後26週時のHbA1c低下における「URLi」のヒューマログに対する非劣性を検証すること。また、食後1時間および2時間の血糖値およびHbA1cの優越性の比較についても検証した。これらの比較は、主要評価項目であるHbA1c変化量についての非劣性を達成した後に行った。 両試験で、ベースラインから26週時のHbA1cの低下について、「URLi」はヒューマログに対して非劣性を示し、主要有効性評価項目が達成された。また両試験で、「URLi」は食事負荷試験の食後1時間および2時間の血糖値変動幅をヒューマログに比べより抑えることも示された。 いずれの試験でも、試験参加者の報告による重症低血糖症・夜間低血糖症・全低血糖症の発生率に有意差は認められなかった。両試験における安全性および忍容性プロファイルは、「URLi」とヒューマログで同様だった。 リリーは両試験の詳細な結果を2019年に発表する予定。また、この結果にもとづき、2019年に「URLi」の承認申請を行う予定。 「URLiが承認された暁には、食後血糖値を望ましい範囲内に収めることを目指してデザインされた食事時インスリン療法における新しい選択肢となります」と、リリー糖尿病事業部インスリン製品開発のトーマス ハーディー氏は述べている。 イーライリリー・アンド・カンパニー[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]