糖尿病患者が体重を減らすと年間5万円の医療費を節約できる

2014.09.16
 肥満や過体重の2型糖尿病患者が、積極的に体重コントロールに取り組み、適正体重を維持すると、医療費を年間5万円(500ドル)以上減らせることが明らかになった。

 肥満や過体重の2型糖尿病患者が、食事療法や運動療法に取り組み、体重を減らすことで、平均して年間に5万円(500ドル)以上の医療費を節約できることが判明した。

 「体重を減らすことで医療費を減らせることを示したはじめての研究です。糖尿病のある人が適正体重を維持することが重要であることが、あらためて示されました」と、米ウェイクフォレスト大学バプティストメディカルセンターのマーク・エスペランド教授は語っている。

減量に成功すれば糖尿病の医療費を節約できる

 研究は、米国国立衛生研究所(NIH)が実施している「Look AHEAD」研究の一環として行われた。集中的な生活スタイル改善による体重減少の効果を調べるのが目的のこの研究に、45~76歳の肥満や過体重のある2型糖尿病患者5,121人が参加した。

 研究チームは、参加者を無作為に振り分けて、「ライフスタイル介入群」、「教育サポート群」に割り付けた。

 生活スタイル介入群では、7%の減量とその維持を目標とし、グループセッションおよび個人面談を行い、カロリー制限(脂肪によるカロリー摂取を最大30%減少)および運動(週に3時間の運動)を実施。さらに、必要に応じて治療薬の投与し行動療法を実施した。

 対照となった教育サポート群では、食事、運動、社会支援に関するグループセッションを3回実施した。

 2012年まで平均11年にわたって医療費に関する追跡調査を行ったところ、介入群は対照群に比べて、短期入院が15%少なく、入院した場合でも入院期間が短いことが判明した。

 また、参加した患者の多くは数種類の治療薬で治療していたが、介入群は薬剤の使用量が少なく、薬代も安いことが分かった。

 これらの結果から、介入群は対照群に比べて、平均して年間に約5万4,000円(528ドル)、10年間で54万円(5,280ドル)の医療費が節約できたことが明らかになった。

 「食事や運動などの生活スタイルを積極的に改善した患者は、体重コントロールに成功し、血糖値や血圧値が改善されただけでなく、睡眠や身体機能、抑うつのコントロールも優れていました」と、エスペランド教授は説明する。

 「2型糖尿病は適切な治療が必要な慢性疾患で、患者数も増えています。医療費も増加しており、政府の財政を圧迫しています。食事や運動の管理をしっかり行うことで、医療費を抑えられることが示されました」としている。

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