2014年フィリピンの糖尿病キャンプ報告 国際糖尿病支援基金

2014.06.11

 オーストラリアで途上国の糖尿病患者さんを支援するインスリン・フォー・ライフ(IFL)のスタッフが2014年5月に行われたフィリピンの糖尿病サマーキャンプに参加しました。

 IFLスタッフのニール・ドナラン氏より、レポートが届きましたので、ご紹介いたします。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。

 2014年5月12日から14日に、フィリピンセブ市において、インスリン・フォー・ライフ(IFL)の支援により「サンシャインサマーキャンプが行われ、大成功を収めました。この糖尿病サマーキャンプには5歳から22歳の30名の糖尿病患者さんが参加しました。

 このキャンプを通じて、参加者とその家族は、糖尿病について学び、最も大切なものであるインスリンを十分に得ることが出来ました。 究極的に言えば、我々は小児糖尿病患者さんとその両親(両親については、キャンプ地までの旅費が負担できる方のみ参加が認められました。)に未来に対する希望を与えることができました。

 キャンプが行われている間は、参加者の血糖値を「mg/ dl」単位で測定しました(注:IFL本部があるオーストラリアでは「㎜/mol」単位が一般的です)。この間行われた糖尿病教育によって、多くの患者さんに血糖値の改善が見られたことは本当に素晴らしかったです。


写真1:キャンプ前半、この少年の血糖値は472㎎/dlもありました。

写真2:キャンプの様子。IFLはインスリン等の物資を支援しました。

 ここに一人の少年(写真1)がいますが、キャンプの前半、彼を含め大半の子供たちの血糖値が472㎎/dlでした。この血糖値は死刑宣告のようなものです。もし、写真の彼が毎日血糖値をコントロールすることができるのであれば、"死刑宣告"は撤回され糖尿病で命を落とすこともありません。

 標準的な血糖値は 102-110mg/dl であり、糖尿病患者でなければ125mg/ dlより上昇することはありません。しかし、キャンプが終わるころには、参加者の血糖値は日に日に標準値に近づいていき200mg/dl前半になっていました。

 また我々は、いつものことながら、想像を超える悲惨な話をたくさん聞きました。例えば、ある参加者の母親が経済的な事情でインスリンを買うお金が無く、娘に投与するインスリンをかなり制限しなければならなかったために成長が遅れてしまい、現在13歳という娘は、どうみても8歳くらいにしか見えませんでした。経済的な困窮のために、今も母親が娘のインスリンを入手するために、セブにある病院までの高い旅費が工面できない状態なのです。

 フィリピンの糖尿病の子供たちが、合併症などで1年以内に命を落としてしまうのが現状です。この子供たちが治療を継続的に受けることで、せめて50歳代まで生きることを望んでいます。このキャンプに参加した子供たちが、来年のキャンプまで何人元気で過ごすことが出来るのかが心配です。

 フィリピン南部でIFLと共に糖尿病の患者さんを支援する「スイートアラート」は、幼くして糖尿病を発症し、子供たちの落とす必要のない命を救うために立ち上がった患者の母親たちが結束した団体です。スイートアラートは、フィリピンの若者たちが手遅れになることなく、早期に適切な治療を受けられることを目指し、スクリーニングを実施していますが、この若者たちを支援しながら活動を進めて行くことは、集約的で骨の折れる仕事です。IFLはスイートアラートが発展し、数多くのキャンプを主催できるよう、懸命に支援しています。

 興味深いことに、このキャンプに参加した多くの糖尿病患者さんが、将来、医療で糖尿病に携わりたいという夢を持っていることを知りました。生命の輪に好循環が生まれます。



【English】 The Sunshine Summer Camp – May 12-14 2014 – Cebu City, Philippines supported by IFL(Neil Donelan)

 国際糖尿病支援基金の活動にご賛同いただき、御参加いただける方は、下記口座(郵便局)までお振込み頂きますようお願い申し上げます。

 御協力頂きました方は、支援者としてこのホームページ上の「支援者名」のコーナーでお名前を発表させて頂きますが、本名での発表をご希望でない方は、振替用紙(郵便局)の通信欄にご希望のお名前をご記入ください。

振込口座(郵便局):
口座番号:00160-3-82542
加入者名:国際糖尿病支援基金口
※通信欄へ「フィリピンの糖尿病患者さん支援」とお書き頂きますようお願い致します。

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インスリン・フォー・ライフ(IFL)オーストラリア

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