セマグルチドのMACE抑制効果、既知のリスク因子の改善だけでは説明しきれず

2026.10.13
GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドによる主要心血管イベント(MACE)リスク抑制効果は、既知のリスク因子の改善のみでは部分的にしか説明できないことを示す研究結果が報告された。英エジンバラ大学のHelen M. Colhoun氏らが、同薬のMACE抑制効果を検証したSELECT試験のデータを解析したもので、詳細は「European Heart Journal」に9月23日付で掲載された。潜在的媒介因子を全て合わせた複合媒介率は、31.4%と推定された。

 SELECT試験は、既存の心血管疾患があり、BMI 27以上の糖尿病のない成人を対象に、セマグルチド(目標用量2.4mg)を週1回皮下投与した臨床試験である。その結果、実薬群のMACE発生率は6.5%、プラセボ群は8.0%であり、同薬によるMACEリスクの20%の有意な低下が示された(ハザード比0.80〔95%信頼区間0.72~0.90〕)。Colhoun氏らは、このSELECT試験におけるMACEリスク低下の潜在的な媒介因子として、ランダム化後24カ月までの体重、ウエスト周囲長、高感度C反応性蛋白質(hsCRP)、HbA1c、血清脂質、血圧、eGFR、尿中アルブミン/クレアチニン比の変化を設定。それらの因子によってMACEリスク低下がどの程度媒介されるかを検討した。

 各因子を個別に検討する解析の結果、媒介率の点推定値は、ウエスト周囲長(64.0%〔95%信頼区間27.5~179.6〕)、hsCRP(42.1%〔同17.9~110.5〕)、HbA1c(29.0%〔-20.7~120.5〕)、体重(19.5%〔-33.0~110.7〕)などで大きかった。ただし、いずれも信頼区間の幅が広く、100%を超える上限値を含んでいた。体重とウエスト周囲長については、推定値の解釈に注意が必要であることが示唆された。これは、介入群とプラセボ群で、体重およびウエスト周囲長の変化とMACEとの関連が異なる可能性があるためと考えられた。

 多変量解析からは、全ての潜在的媒介因子を合わせた複合媒介率が31.4%(-30.1~143.6)と推定された。体重とウエスト周囲長の2項目では12.3%(-42.6~92.6)であり、体重とウエスト周囲長を除いた他の因子では46.0%(-6.0~161.0)と推定された。

 論文の筆頭著者であるColhoun氏は、「全てのリスク因子をまとめて分析した場合でも、一部のリスク因子のみで分析した場合でも、MACEリスク低下の半分以上は説明できなかった。これらの結果は、セマグルチドを単なる減量薬としてではなく、心血管疾患リスクを低減する薬剤として検討すべきであることを示唆している」と述べている。

 なお、複数の著者が、セマグルチドのメーカーであり本研究の研究資金を提供したノボ ノルディスク社を含む、バイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2026年9月30日]

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