モデルナのCOVID-19ワクチンの第1相試験の中間結果 被験者全員が抗体を獲得 試験データをNEJMに掲載

2020.07.15
 米バイオ医薬ベンチャーのモデルナは、開発中の新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)の第1相試験の中間結果で、被験者全員が抗体を獲得したと発表した。

3万人規模の第3相試験も急ピッチで準備

 米バイオ医薬ベンチャーのモデルナは、米国立衛生研究所(NIH)と共同で新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)の開発を進めており、ワクチン候補の「mRNA-1237」を使った第1相臨床試験で、被験者全員に抗体反応を確認したと発表した。

 第1相試験の結果は「ニューイングランド ジャーナル オブ メディシン(NEJM)」に掲載された。米国で開発中のワクチンについて、試験の結果が査読済みの医学誌に掲載されたのは今回がはじめて。

 初期段階の安全性試験では、18~55歳の健康な成人45人を対象に、mRNA-1237を28日間隔で2回投与。25μg、100μg、250μgの3つの用量を投与した。

 その結果、被験者全員で「mRNA-1237」により抗体反応が引き起こされていることが示され、SARS-CoV-2に感染して回復した人と同等のレベルで、ウイルスに対する中和抗体ができていることが示された。

 中和抗体の産生がそのままワクチンの有効性を実証するものではないが、試験での初期段階の重要なステップと受け止められている。

 T細胞反応も評価しており、「mRNA-1273」の2回目の接種後、Th2バイアスCD4 T細胞の応答を有意に上昇させることなく、Th1バイアスCD4 T細胞応答を誘発することが示された。

 100µg用量で2回目のワクチン接種後に報告された有害事象は、疲労感(80%)、悪寒(80%)、頭痛(60%)、筋肉痛(53%)で、いずれも一過性で軽度または中程度だった。局所有害事象は、注射部位の痛み(100%)であり、これも一過性で軽度または中程度だった。

 「mRNA-1273」の第2相試験は、18〜55歳の健康な成人(n=300)と55歳以上の高齢者(n=300)を対象に予定されており、登録は既に完了している。第2相試験では、50μgまたは100μgの投与量で、ワクチン接種を28日間隔で2回行った場合の安全性、反応性、抗体獲得を評価する。

 同社は第3相試験の準備も進めており、米国食品医薬品局(FDA)が定めたCOVID-19ワクチン開発のための臨床試験デザインに関するガイダンスに沿って実施する予定。

 第3相試験は全米の87地点で約3万人の登録を見込んでおり、主要評価項目は症候性COVID-19の予防、副次的評価項目は重度COVID-19(入院の必要性がある)の予防、およびSARS-CoV-2による感染の予防としている。

 同社は、研究がすべて順調に進んだ場合、2021年から年間約5億回、最大で年間約10億回の投与を実現するため、ワクチン量産の準備を進めている。

モデルナ
An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 -- Preliminary Report(New England Journal of Medicine 2020年7月14日)

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