GLP-1受容体作動薬と経口薬・インスリンの併用でHbA1cが低下 重大な低血糖報告はなし

2014.06.02
第57回日本糖尿病学会年次学術集会

 ノボ ノルディスク ファーマは、第57回日本糖尿病学会年次学術集会で、持効型溶解インスリンアナログ製剤「トレシーバ」(インスリン デグルデク)、GLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」(リラグルチド)について発表を行った。

 ビクトーザについては、日本人においてインスリンおよび経口薬との併用療法の有効性および安全性を検討したデータが口演発表された。報告された有害事象(AE)のほとんどが軽度であり、その割合は両群で同程度だった。ビクトーザは現在、「2型糖尿病」を効能・効果とした一部変更承認申請中。

一般演題I-5-2経口糖尿病薬単剤との併用下での2型糖尿病患者におけるリラグルチドの安全性および有効性:the LIRA-ADD2OAD JAPAN trial
加来浩平 先生(川崎医科大学内科学特任教授) 他

 経口糖尿病薬(OAD)単独でコントロール不十分な日本人2型糖尿病患者360例(年齢59.5±11.1歳、BMI25.7±4.1kg/m²、HbA1c8.1±0.8%)を対象に、リラグルチド(1日1回0.9mg投与)とOAD1剤併用療法をOAD2剤療法と比較した。OAD1剤とリラグルチドの併用療法は良好な忍容性を有し、OAD2剤療法群と比較して優れた血糖コントロール改善効果が認められた。
・ 52週間の試験期間中、報告された有害事象(AE)は、もっとも発現頻度の高かったのは鼻咽頭炎(37~39%)だった。胃腸障害(主に便秘および悪心)はリラグルチド+OAD1剤併用療法群で多く認められた。
・ 重大な低血糖の報告はなく、重大でない低血糖は両群ともに2例ずつ報告された。
・ 投与52週後において、リラグルチド+OAD1剤併用療法群ではOAD2剤療法群と比較してHbA1cが有意に低下し、HbA1c7.0%未満を達成した割合が有意に高かった。

一般演題I-5-1日本人2型糖尿病患者におけるリラグルチドとインスリンの併用療法の有効性および安全性の検討:the LIRA-ADD2INSULIN JAPAN trial
清野 裕先生(関西電力病院院長) 他

 日本人2型糖尿病患者257例(年齢60.5±11.2歳、BMI 25.6±4.5 kg/m²、HbA1c 8.8±0.9%)を対象として、リラグルチド(0.9mg/日)とインスリンの併用療法をインスリン単独療法(プラセボ投与)と比較した。インスリン量は16週まで固定、その後の20週では調節可とした。その結果、リラグルチドとインスリンの併用療法の忍容性は良好であり、インスリン単独療法に比べて優れた血糖コントロールが得られた。
・ 16および36週においてプラセボ群と比較してリラグルチド群でHbA1cが有意に低下した(p<0.0001)。
・ 16週時点のHbA1c7.0%未満の達成率は、リラグルチド群52.8%、プラセボ群2.2%だった。6.5%以下の達成率はリラグルチド群22.4%、プラセボ群0.4%だった。
・ 16週以降、両群ともにインスリン量が増加したが、リラグルチド群でより少なかった(p<0.0001)。
・ 有害事象の多くは軽度であり、両群で同様だった。胃腸障害はリラグルチド群で多かった(リラグルチド群52.0%、プラセボ群20.0%)。
・ 重大な低血糖の報告はなく、重大でない低血糖の発現割合に明らかな違いはみられなかった。

 ビクトーザは、インスリンの分泌を血糖値に応じて促進させ、同時に、グルカゴンの分泌を抑制する。1日1回の皮下注射で優れた血糖改善効果を示し、単独療法では低血糖を起こしにくい薬剤だ。また、GLP-1の薬理作用である食欲・摂食に対する作用から、体重増加をきたしにくい。2型糖尿病はインスリンを分泌する膵β細胞の機能が徐々に低下する進行性の慢性疾患だが、国内外の臨床試験では、ビクトーザ投与後に膵β細胞機能指標の改善が認められた。主な副作用は投与初期の一過性の胃腸障害(便秘など)。

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