糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント

第4回 グリニド系薬剤

加藤光敏 先生(加藤内科クリニック院長)

筆者について

初出:医療スタッフのための『糖尿病情報BOX&Net.』No. 30(2011年10月1日号)

本邦で開発されたナテグリニド

 日本人のインスリン分泌能は欧米人に比べて低いという特徴が知られています(文献1、2)。また日本人耐糖能異常者は、食後のインスリン分泌が血糖上昇に比べて遅い例が多いという重要な特徴があります。これを補うのがグリニド系薬剤で、短時間のインスリン分泌作用を持っています。

 グリニド系薬剤が初めて日本に登場したのは1999年、味の素(株)などにより共同開発された、α-フェニルアラニン誘導体のナテグリニド(ファスティック®、スターシス®、各々30mg/90mg。90mg錠で3錠/日が基本)です。現在、世界78の国と地域で承認・使用されています。

 発売直後に、当院で75gOGTTの直前にナテグリニド90mg服用と服用なしのクロスオーバー試験を施行したところ、服用群はインスリンの立ち上がりが明らかに早くなったことを認めました。発売前は「低血糖を来しにくい弱いSU薬」という認識でしたが、SU薬にありがちな次の食前の低血糖をきたし難いのみでなく、日本人2型糖尿病の弱点「インスリン初期分泌の遅延」が見事に改善され、期待した以上の驚きを感じたことを覚えています。

ミチグリニドについて

 2004年に発売されたミチグリニド(グルファスト5mg/10mg錠・3錠/日)は、キッセイ薬品工業(株)が開発したベンジルコハク酸誘導体。ナテグリニドより作用が強力とのことでしたが、憂慮された食後低血糖もみられませんでした。当院でも、ナテグリニドより血糖降下作用のやや強い薬剤の位置づけで使用しています。なお、当院で従来の薬から本剤への切り替えで効果を比較した60症例について、論文報告をしています(文献3)。

レパグリニドについて

 2011年5月、レパグリニド(シュアポスト®錠0.25mg/0.5mg錠・3錠/3日)が大日本住友製薬から発売されました。米国ではPrandin®、欧州ではNovoNorm®という名で販売されている薬剤で、90カ国以上で発売されています。日本では、2004年にノボ社から大日本住友製薬が開発・臨床治験を引き継ぎました。食事・運動療法か、食事・運動療法とα-GI併用で効果不十分の2型糖尿病が適応です。

配合剤についての新しい動き

 2011年7月、速効型インスリン分泌促進薬/食後過血糖改善配合剤「グルベス®配合錠」がキッセイ薬品から発売されました。これはミチグリニドカルシウム10mgとボグリボース0.2mgとの配合剤で、α-GIにより食後の糖吸収を穏やかにし、立ち上がりの遅いインスリンをグリニドで改善しようという組み合わせです。

服薬指導のポイント

 グリニド系薬剤は、食後の服用では効果が減弱することが分かっており、食前の服用が重要です。α-GIと同様に食直前の服薬指導が重要ですが、逆に20~30分前の服用では、低血糖の可能性があります。また各グリニド共に基本的にSU薬と同様の作用機序であり、従来のSU薬との併用や、SU薬から切り替えても有効性は発揮できません(文献3)。

 グルベス®配合錠は発売当初から長期投与が認められていますが、ドラックナイーブ(血糖降下薬不使用)症例への第一選択薬として開始することは認められておらず、

  1. グルファスト®10mg・3錠/日、ベイスン®0.2mg・3錠/日を同時服用で安定。
  2. これら2種どちらかの服薬では効果不十分な場合にグルベスに変更。

この条件で保険適応となる点に注意が必要です。

参考文献

関連情報

※記事内容、プロフィール等は発行当時のものです。ご留意ください。

糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント 目次

2020年01月24日
厚労省が「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を公開 脂質異常症と高齢者のフレイルに対策 よりきめ細かな栄養指導が必要に
2020年01月24日
「スーグラ錠」「スージャヌ配合錠」の重⼤な副作⽤にアナフィラキシー 厚労省が添付⽂書の改訂を指⽰
2020年01月23日
SGLT2阻害薬で痛風発症率が低下
2020年01月22日
インスリンに糖鎖が結合した新しい分子「グリコインスリン」の合成に成功 線維化しない新しいインスリン分子を創製 大阪大
2020年01月22日
難治性の傷を治す「シルクエラスチン」を開発 糖尿病性皮膚潰瘍などの慢性創傷に有効 産官学連携で医師主導の治験を実施
2020年01月22日
SGLT2阻害薬「フォシーガ」の慢性心不全治療薬としての効能・効果追加を申請 DAPA-HF試験結果を受け
2020年01月16日
慢性腎臓病(CKD)により体内時計が乱れる 中枢時計や末梢臓器の時計の乱れが腎機能をさらに悪化させるという負の連鎖
2020年01月16日
「郡山市における糖尿病対策に係る共同研究」の結果 ノボ、郡山市、福島県立医科大学 治療中断者は糖尿病への理解や認識が不足している
2020年01月16日
サノフィが「Diabetes.Your Type.」キャンペーンを開始 糖尿病患者が病気を隠さずにいられる社会を
2020年01月16日
歯周病の治療で糖尿病の合併症が減り、費用対効果がアップ
4コマ劇場 糖尿病看護のあるある体験談