糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント

第2回 ビグアナイド薬(1)

加藤光敏 先生(加藤内科クリニック院長)

筆者について

初出:医療スタッフのための『糖尿病情報BOX&Net.』No. 28(2011年4月1日号)

1) 薬草から生まれた薬

 以前、ビグアナイド薬(BG薬)は危険性の高い薬とされていました。しかし現在は2型糖尿病の基礎薬として年々評価が高くなってきました。皆さんはこの薬の歴史は中世のヨーロッパに遡ることをご存知でしょうか?

 その頃、糖尿病の治療に使われていた薬草がGoat's Rue(ゴーツルー)、別名フレンチライラック(学名Galega officinalis:ガレガ草)です。調べてみるとピンクと白の可憐な花を付け「播き時:早春か秋、発芽条件:13-16℃/14-60日、分布:西アジアからヨーロッパ南部、草丈:1.0-1.5m。葉の生汁はヘンルーダ(ミカン科の常緑小低木)の葉に似た強い臭気があり、チーズ作りの凝固剤。血糖値を下げるので注意。出産後母乳分泌増強薬として用いられている」とあり、母乳を増やすサプリメントに含まれているのは驚きでした。インターネットでも見つかります。

2) 1950年代にBG薬が登場

 フレンチライラックの血糖降下作用の成分はグアニジンという物質です。1957年頃、グアジニン誘導体であるフェンホルミン、ブホルミン、メトホルミンのビグアナイド薬が登場しました。ところが、1970年代に入るとフェンホルミン使用者での乳酸アシドーシスでの死亡例が報告され、1977年には米国FDAは唯一のビグアナイド薬フェンホルミンの使用を禁止しました。しかし、メトホルミンを用いていた欧州の国々などから高い有効性・安全性の報告が相次ぎ、1995年にFDAはメトホルミンを認可したのです。

3) メトホルミンとブホルミン:日本での種類

 日本のメトホルミン塩酸塩は全て1錠250mgで、メトグルコ、グリコランがあります。薬価はメトグルコで9.9円、グリコランは9.6円と安価です。後発品はネルビス、メデット、メトリオン、メトホルミン塩酸塩錠250mg [トーワ] とメトホルミン塩酸塩錠250mg「JG」があり9.2円(一 部9.6円)。欧米では2,550mg/日(米)∼3,000mg/日(欧)の用量まで使用されていますが、日本ではメトグルコ以外はすべて750mg/日までで、以前より専門医の間ではもっと上の用量をという声が上がっていました。日本での治験を終了して発売されたメトグルコは、現在最高2250mg/日まで使用可能となり永年の要望が叶えられることになりました。なお最近は合剤として、メトホルミン500mg+ピオグリタゾン15mg(メタクト配合錠LD)76.6円と、ピオグリタゾン30mg(メタクト配合錠HD)142.7円が発売されています。薬価はピオグリタゾン(アクトス)単独と同じです。ちなみに、シタグリプチンは1錠50mgが166円、100mgが250円です。

 以上のほか、ブホルミン塩酸塩は後発品のジベトス50mg錠と、ジベトンS腸溶錠50mgが使われていて薬価は9.6円です。

4)服薬指導

 乳酸アシドーシス以外の主な副作用は、下痢・悪心等の消化器症状で、頻度は750mg/日までの場合それ程高くありません。念のため、1日1錠で始めて症状がなければ漸増、と話しておくと案外うまくいきます。α-GIと類似の服薬指導が忍容性を高めます。なお、急性腸炎などの場合は一時中止するよう指導が必要でしょう。当院の糖尿病患者810人のうち、メトホルミンを服用している患者さんは、他剤やインスリンとの併用を含め241人(30%)に上ります。体重を増やさないという特徴も極めて重要です。加えて価格と有効性がマッチしている薬と考えられるところから、医療経済がひっ迫する中でもあり、患者さんの経済的負担が少ないのも大きなメリットだと思われます。

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