糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント

第1回 α-グルコシダーゼ阻害薬

加藤光敏 先生(加藤内科クリニック院長)

筆者について

初出:医療スタッフのための『糖尿病情報BOX&Net.』No. 27(2011年1月1日号)

α-GIの一般的な服薬指導

 α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)として

  • アカルボース(グルコバイ®) ⇒一覧表
  • ボグリボース(ベイスン®) ⇒一覧表
  • ミグリトール(セイブル®) ⇒一覧表

の3種類が臨床で使用されています。

 α-GIは食直前服用とされますが、α-GIは本当に食後服用では無効なのでしょうか?ミグリトールの朝食開始30分後服用試験では、確かに食直前投与のほうが食後30, 60分の血糖抑制は良いのですが、血糖曲線下面積(AUC 0-180分)ではいずれも同様の血糖抑制効果だったと報告されています(文献1)。また食後15分服用ですが、アカルボースでも有効性が報告されています(文献2)。

 さらに2型糖尿病患者でのミグリトール食直前、直後服用では3カ月でHbA1c、1,5-AG指標で効果に差がないことが示されました(文献3)。当院の患者さんに聞いたところ、「飲めないのは月に1~2回位」との回答でした。これは「食前に忘れてしまったら食中、食後すぐ」と指導を変えてから服用率が上昇したのです。ミグリトールに限れば、食前食後に薬を飲み分けるのが難しくなった高齢者などにも良さそうです。

食直前服用の指導と低血糖

 しかし原則は食直前投与とし、「お箸を持ったらまず○○」の標語も使用されています。当院ではこれを唱えさせていませんが、箸と一緒に薬を用意する習慣などを指導しています。また低血糖時は「ブドウ 糖が原則」ですが、無くとも慌てず二糖類(砂糖など)を多めに服用します。

服用初期の消化器症状に対する服薬指導

 α-GIは消化器系の副作用が有名です。未消化で結腸に達した二糖類は、腸内細菌がガスを発生、放屁や鼓腸を生じます。特に服用開始1~2週に多く、その後多くの場合症状が軽減消失します。腹部膨満感軽減は

  1. 早食い過食に注意
  2. 服用初期はイモ類、豆類、乳製品の摂取過剰に注意
  3. ビールや炭酸飲料で服用しない

と指導します。

α-GIの最近のトピックス

 腸管から分泌されるホルモンのインクレチンには、消化管上部空腸のK細胞からのGIP、小腸下部や結腸のL細胞からのGLP-1があります。GIPは脂肪蓄積作用があるため少ない方が良く、 GLP-1は多いのが理想です。α-GIは小腸上部でのGIP分泌を減らします。ミグリトールは小腸上部で半分が吸収されるため、小腸下部では作用が減弱し、ブドウ糖が吸収され、その刺激でGLP-1濃度が増加します。ミグリトールには、このような有利な作用を持つことが注目されていることを付記します(文献4)。

 最後にボグリボースは、「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」での保険の適応が通りましたが、 0.2mg錠のみの適応であること、またジェネリック医薬品では適応のないことに注意が必要です。

参考文献

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※記事内容、プロフィール等は発行当時のものです。ご留意ください。

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