SGLT2阻害薬「ジャディアンス」が初回および再発の心血管イベントリスクを減少 心血管疾患既往の2型糖尿病患者で EMPA-REG OUTCOME試験の新たな解析結果

 心血管疾患既往の2型糖尿病患者で、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)は、初回および再発の心血管イベントリスクを減少させることが、EMPA-REG OUTCOME試験の新たな解析で示された。
 ジャディアンスは、プラセボと比較して、3P-MACE、心不全による入院、および全ての原因による入院を含む心血管イベントの全イベント(初回および再発)のリスクを減少させた。
ジャディアンスの標準治療への上乗せにより初回および再発の心血管イベントリスクが低下
 心血管疾患既往の2型糖尿病患者で、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)の標準治療への上乗せにより、プラセボと比較して、初回および再発の心血管イベントリスクが低下することが、EMPA-REG OUTCOME試験の新たな事後解析で示された。

 心血管イベントには、3P-MACE(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、または心血管死の複合エンドポイント)、心不全による入院、および全ての原因による入院が含まれる。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーが発表した今回の解析結果は、「Lancet Diabetes&Endocrinology」に掲載された。

 EMPA-REG OUTCOME試験は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同試験で、42ヵ国から心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者7,000人以上が参加した。

 同試験では、標準治療にプラセボを上乗せした群とジャディアンス(10mgまたは25mg1日1回)を上乗せした群とで、長期の心血管安全性を評価しました。標準治療については、血糖降下薬と心血管治療薬(高血圧やコレステロール降下薬など)が使用されていた。主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中が最初に起こるまでの期間として定義された。

 同試験ではこれまで、心血管疾患既往の2型糖尿病患者で、ジャディアンスは心血管死の相対リスクを38%減少させ、3P-MACEの相対リスクを14%減少させたことが報告されている。

 この新たな探索的解析では、ジャディアンスを標準治療に上乗せすることで、以下の全イベント(初回および再発)の相対リスクがプラセボと比較して減少することが明らかになった。

▼3P-MACE 22%減少、▼心不全による入院 42%減少、▼全ての原因による入院 17%減少、▼致死的・非致死的心筋梗塞(一般に心臓発作と呼ばれる) 21%減少、▼冠動脈疾患イベント(心筋梗塞と冠動脈血行再建術の複合) 20%減少。

 同試験におけるジャディアンスの安全性プロファイルは、それまでの試験で得られた結果と一貫していた。

 「アテローム性動脈硬化症の既往を有する2型糖尿病患者さんでは、心血管系の合併症を発症するリスクが高まり、入退院を繰り返すことで生活の質(QOL)が損なわれるとともに、その結果として、医療費の増大に影響を及ぼすと考えられます。臨床試験で一般的に解析される初回の入院だけでなく、再入院を含めた全ての入院イベントを考慮することにより、治療の最終的な影響を評価できます。今回の新たな解析により、この衰弱させる合併症が原因で再発イベントを起こす患者さんに対して、ジャディアンス錠による長期治療の影響についての理解が深まります」と、解析の筆頭著者でありUniversity of Texas Southwestern Medical CenterおよびParkland Health and Hospital Systemの内科学教授であるDarren McGuire氏は述べている。

 なお、日本でのジャディアンス錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果、慢性心不全の適応は取得していない。

 EMPOWERプログラムは、これまでに世界中の患者37万7,000人以上が参加しているSGLT2阻害薬に関する心血管臨床試験プログラムの1つ。同プログラムには以下の試験が含まれる。

・ 「EMPEROR-Reduced試験」(左室駆出率が低下した慢性心不全の患者が対象)
・ 「EMPEROR-Preserved試験」(左室駆出率が保持された慢性心不全の患者が対象)
・ 「EMPULSE試験」(急性心不全で入院した患者が対象)
・ 「EMPACT-MI試験」(2型糖尿病合併の有無を問わない急性心筋梗塞後の患者が対象)
・ 「EMPA-KIDNEY試験」(慢性腎疾患の患者が対象)
・ 「EMPERIAL-Reduced試験」(左室駆出率が低下した慢性心不全が患者)
・ 「EMPERIAL-Preserved試験」(左室駆出率が保持された慢性心不全の患者が対象)
・ 「EMPA-REG OUTCOME試験」(心血管疾患の既往を有する2型糖尿病患者が対象)
・ 「EMPRISE研究」(日常診療におけるジャディアンスの心血管イベントリスクに対する有効性、安全性、医療資源利用、医療費をDPP-4阻害薬と比較評価することを目的とした非介入研究)

Effects of empagliflozin on first and recurrent clinical events in patients with type 2 diabetes and atherosclerotic cardiovascular disease: Results from the EMPA-REG OUTCOME trial(Lancet Diabetes Endocrinol 2020年12月)

ジャディアンス錠10mg ジャディアンス錠25mg添付文書 (医薬品医療機器総合機構)

ベーリンガープラス(日本ベーリンガーインゲルハイム)
日本イーライリリー

関連情報

[Terahata]

関連ニュース

2020年12月22日
SGLT2阻害薬「フォシーガ」が慢性腎臓病(CKD)治療薬としての効能・効果の追加を申請
2020年12月18日
週1回投与デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬「Tirzepatide」 2型糖尿病患者のHbA1cおよび体重を有意に減少
2020年12月16日
肥満状態では肝臓などの血糖制御ネットワークの変化は広範に及ぶ 血糖恒常性の破綻である2型糖尿病のメカニズムを解明
2020年12月15日
MR拮抗薬「フィネレノン」が2型糖尿病を合併するCKD患者の心血管系アウトカムで一貫した有用性を示す 心血管疾患の既往の有無にかかわらず
2020年12月15日
【新型コロナ】抗原定性検査キット「Rapiim SARS-CoV-2-N」を発売 微量なウイルス抗原を15分で検出 横浜市立大との共同研究をもとに開発
2020年12月14日
【新型コロナ】COVID-19ワクチンがついに実用化 米国でも緊急使用許可 ワクチン接種には課題も
2020年12月11日
SGLT2阻害薬「ジャディアンス」が初回および再発の心血管イベントリスクを減少 心血管疾患既往の2型糖尿病患者で EMPA-REG OUTCOME試験の新たな解析結果
2020年12月11日
【新型コロナ】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2020年12月09日
【新型コロナ】COVID-19入院患者の1.85%が⾎栓症 抗凝固療法は14.5%に施⾏ 日本初のCOVID-19関連⾎栓症の調査
2020年12月09日
【新型コロナ】コロナ禍で食生活はどう変化した? 在宅ワークは野菜と果物の増加に貢献 子育て時間が増えた人では悪影響も

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶