SGLT2阻害薬 vs DPP-4阻害薬 どちらが心血管イベントリスクの低下で有利か

SGLT2iが対DPP-4iでMACEを有意に抑制
 SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬で治療されている2型糖尿病患者の心血管イベントリスクを比較した、後方視的コホート研究の結果が報告された。傾向スコアでマッチングさせた検討の結果、SGLT2阻害薬はDPP-4阻害薬に比較し、有意なリスク低下が認められたという。ユダヤ総合病院(カナダ)のKristian B. Filion氏らの論文が、「the BMJ」9月23日オンライン版に掲載された。

 Filion氏らは、カナダの7つの州、および英国における2013~2018年の医療データベースを統合し、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬が新たに処方された2型糖尿病患者を抽出。背景因子を傾向スコアでマッチングさせ、各群20万9,867人からなる2群を設けて後方視的に検討。平均0.9年の追跡期間中の心血管イベント発生リスクを比較した。

 一次評価項目は、主要心血管イベント(MACE:心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管死の複合エンドポイント)、二次評価項目は、MACEの各構成要素と心不全、全死亡とした。Cox比例ハザード分析の結果、DPP-4阻害薬群に比較してSGLT2阻害薬群では、イベント発生リスクの有意な低下が認められた。

 具体的には、一次評価項目のMACEは1,000人年当たりの粗発生率がSGLT2阻害薬群11.4、DPP-4阻害薬群16.5で、年齢、性別、糖尿病罹病期間などで調整したハザード比(aHR)が0.76(95%信頼区間0.69~0.84)だった。二次評価項目のうち、心筋梗塞は粗発生率が前記と同順に、5.1、6.4、aHR0.82(同0.70~0.96)、心血管死は粗発生率3.9、7.7、aHR0.60(同0.54~0.67)、心不全は粗発生率3.1、7.7、aHR0.43(同0.37~0.51)、全死亡は粗発生率8.7、17.3、aHR0.60(同0.54~0.67)で、いずれも有意だった。虚血性脳卒中に関しては、粗発生率2.6、3.5、aHR0.85(同0.72~1.01)で、有意でなかった。

 年齢(70歳未満/以上)、性別、心血管疾患の既往の有無、インスリン使用歴の有無で層別化したサブグループ解析も結果は同様であり、SGLT2阻害薬群はDPP-4阻害薬群より、MACEおよび心不全のリスクが有意に低かった。

 また、SGLT2阻害薬を薬剤別に検討すると、MACEに関しては、カナグリフロジンがaHR0.79(95%信頼区間0.66~0.94)、ダパグリフロジンがaHR 0.73(同0.63~0.85)、エンパグリフロジンがaHR0.77(同0.68~0.87)であり、心不全に関しては、カナグリフロジンがaHR0.41(同0.32~0.52)、ダパグリフロジンがaHR 0.44(同0.36~0.54)、エンパグリフロジンがaHR0.52(同0.43~0.65)となった。

 著者らは、「この結果は2型糖尿病治療のリアルワールドで、SGLT2阻害薬が心保護効果をもたらすことを示唆している。ただし、この効果が長期的に持続するかの判断には追試が必要」と述べている。

 なお、数名の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2020年9月24日]

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[Terahata]
編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
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