【ADA2020】 TEDDY研究の最新報告 プロバイオティクスが小児1型糖尿病の発症リスクを低下

第80回米国糖尿病学会(ADA2020)
 膵島自己抗体を発現する小児では、腸内細菌叢の組成および機能にわずかな差がみられ、プロバイオティクスを早期に使用すると1型糖尿病の発症リスクを低下させる可能性があることが報告された。
小児1型糖尿病の発症因子研究 腸内細菌叢の組成と機能を手がかりに
 「若年者の糖尿病における環境決定因子」(Environmental Determinants of Diabetes in the Young:TEDDY)研究からの最新知見が、第80回米国糖尿病学会(ADA2020)のバーチャル会議で報告された。

 TEDDY研究は、小児1型糖尿病の潜在的な原因を調査する国際的な多施設共同試験で、国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)の協力を得て実施されている。1型糖尿病は、通常、インスリンを産生する膵臓のβ細胞が自己免疫によって破壊されることで発生する。β細胞が破壊されると、インスリンを産生することができなくなり、血糖値を正常に保つことができない。

 小児1型糖尿病患者は特定の種類の遺伝子を持つが、それらの遺伝子を持つ小児が全員糖尿病を発症するわけではない。環境からの何かの要因がβ細胞の免疫破壊を誘発する。TEDDY研究の目的は、膵島自己抗体の出現を特徴とするβ細胞の免疫破壊を誘発する遺伝子と相互作用するウイルスや栄養因子を見つけることだ。

 この研究では、1型糖尿病を発症するリスクがある乳幼児を登録し、さまざまなβ細胞自己抗体と糖尿病の出現を調べるために15年間追跡調査を行っている。さらに、自己免疫破壊が開始した後に糖尿病に進展するまでの速さを予測できるバイオマーカーについても検討している。

主な最新情報
・ 小児の便中にエンテロウイルスB種が持続的に存在すると、膵島自己免疫、特にインスリンに対する自己抗体の存在を特徴とする初期のサブタイプが生じることが予測される。
・ 膵島自己抗体が発現している小児では、コントロール群と比較して腸内細菌叢の組成および機能にわずかな差がみられる。プロバイオティクスを早期に使用すると発症リスクを低下させる可能性があるが、抗生物質の使用は膵島またはセリアック病1の自己免疫と関連がなかった。
・ TEDDY研究は、ビタミンD、ビタミンC、または多価不飽和脂肪酸が豊富な食事が潜在的に有益な効果があることを発見したが、無作為化臨床試験で確認する必要がある。

 TEDDY研究の責任医師たちは、1型糖尿病とセリアック病に登録されている症例を追跡し、高リスク遺伝子を持つ一部の小児が1型糖尿病またはセリアック病を発症する一方で、ほとんどの小児が無病状態である理由を明らかにしようとしている。TEDDY研究の最近の報告では、遺伝的素因のある小児において幼児期のグルテン摂取とセリアック病のリスク増加に関連があることが示された。

 TEDDY研究の主任研究者の一人であるMarian Rewers医師は「TEDDY研究の興味深い発見は、インスリン産生細胞の自己免疫破壊がどのくらい早期に始まるかということであり、多くの場合、生後2年以内に始まる。1型糖尿病には、遺伝因子と免疫表現型によって異なる2つのサブタイプがある。メタボロミクスバイオマーカーは、サブタイプと小児が1型糖尿病を発症するかどうかの手がかりとなる可能性がある。興味深いことに、HbA1cには、1型糖尿病の危険因子を有する成人と比較して、膵島自己抗体を持つ小児の臨床的糖尿病への進展について大変異なる予測特性がある」と述べ、最後に「1型糖尿病とセリアック病は多くの遺伝的特徴を共有しているが、これらの疾患の発症と進行には興味深い違いがある。TEDDY研究は、1型糖尿病とセリアック病の両方を予防するための今後の臨床試験計画に刺激的な手掛かりを提供している」と付け加えた。

1 セリアック病とは、小麦や大麦など麦類に含まれるグルテンの摂取により慢性的な小腸の炎症性疾患を引き起こす遺伝性の自己免疫疾患。小腸で食物から栄養素を吸収することができなくなり、健康に悪影響を与える。

Latest TEDDY Report Outlines Research on Type 1 Diabetes and Celiac Disease

[Shiga]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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