【ADA2020】 糖尿病予防研究「DPPOS」から新しい報告 2型糖尿病の発症リスク減少が長期持続
2020.06.23
糖尿病予防研究「DPPOS」に登録された2,000人以上を長期追跡調査したところ、2型糖尿病の発症リスクが引き続き有意に減少していることが示された。
第80回米国糖尿病学会(ADA2020)
・ DPP開始から22年経過した時点での糖尿病の発症リスクは、プラセボ群と比較してライフスタイル群で25%、メトホルミン群で18%低減した。
・ 糖尿病を発症していない人は、眼と腎疾患の早期変化を生じるリスクがそれぞれ57%と37%と有意に低く、心臓発作や脳卒中などの主な心血管疾患のエンドポイントのリスクが39%低かった。
・ 全体的に糖尿病予防への効果は認められたものの、メトホルミン群とライフスタイル群ともに、心疾患、腎疾患、糖尿病性網膜症の発症に関して有意な効果は認められなかった。
・ 45歳未満で登録した患者のサブグループでは、メトホルミンによる脳卒中の減少および心血管イベントの良好な傾向が認められた。
・ メトホルミン群では、有意差はないもののプラセボ群と比較して癌のリスクが12%低下した。
・ ライフスタイル群では、フレイルの発生が長期的に減少したことが示された。
・ いずれかの介入で観察された唯一の長期的な負の影響は、メトホルミンによって腎疾患がわずかに増加したことであり、これは最も年齢の高いグループにのみ認められた。 マサチューセッツ総合病院の臨床研究センターおよび糖尿病センターのディレクター、ハーバード・メディカル・スクール薬学教授であるDavid M. Nathan医師は「DPP/DPPOSは、登録した症例を積極的に追跡し続けている最長かつ最大規模の予防試験だ。最新の結果は、2型糖尿病の予防が可能であり、重要な臨床効果があることを示している。糖尿病の発症に介入したDPPとDPPOSは、開始から長期間経った現在も、介入の効果を証明し、糖尿病患者を減少することに貢献し続けている。現在、DPPライフスタイル介入プログラムは、米国疾病管理予防センター(CDC)による全米糖尿病予防プログラム(NDPP)とメディケア・メディケイドサービスセンターが支援するメディケア糖尿病予防プログラム(MDPP)を通じて、全米のコミュニティでメディケア1受給者に提供されている」と述べた。 1 メディケアは、米国における65歳以上の高齢者と65歳未満の障害者向けの公的医療保険プログラム。 New Data from Diabetes Prevention Program Outcomes Study Shows Persistent Reduction of Type 2 Diabetes Development Over 22-Year Average Follow-Up
糖尿病予防プログラムの長期追跡 2型糖尿病を予防
糖尿病予防プログラムに関する長期追跡調査の報告が、第80回米国糖尿病学会(ADA2020)のバーチャル会議で発表された。これはDPPOSからの新しい報告だ。DPPOSは、1996年から2001年にかけて実施された糖尿病予防プログラム「DPP」の長期追跡調査で、2型糖尿病の高発症リスク者を対象に、ライフスタイルへの強力な介入またはメトホルミンによる治療を実施し、2型糖尿病の予防または発症遅延効果を長期的に検討した。 DPPOSにはDPPに登録した症例の88%が登録され、75%で評価が続いている。DPPは、2型糖尿病の高発症リスク者に対してライフスタイルへの介入またはメトホルミン投与による発症抑制効果を比較検討した研究だ。ライフスタイル群、メトホルミン群、プラセボ群の3群に割り付けて実施された。2型糖尿病の発症リスクは、プラセボ群と比較してライフスタイル群で58%、メトホルミン群で31%低減した。メトホルミンは2型糖尿病治療において世界で最も一般的に使用されている薬剤の1つだが、米国食品医薬品局(FDA)では発症予防には分類されていない。 DPPOSの主な最新結果・ DPP開始から22年経過した時点での糖尿病の発症リスクは、プラセボ群と比較してライフスタイル群で25%、メトホルミン群で18%低減した。
・ 糖尿病を発症していない人は、眼と腎疾患の早期変化を生じるリスクがそれぞれ57%と37%と有意に低く、心臓発作や脳卒中などの主な心血管疾患のエンドポイントのリスクが39%低かった。
・ 全体的に糖尿病予防への効果は認められたものの、メトホルミン群とライフスタイル群ともに、心疾患、腎疾患、糖尿病性網膜症の発症に関して有意な効果は認められなかった。
・ 45歳未満で登録した患者のサブグループでは、メトホルミンによる脳卒中の減少および心血管イベントの良好な傾向が認められた。
・ メトホルミン群では、有意差はないもののプラセボ群と比較して癌のリスクが12%低下した。
・ ライフスタイル群では、フレイルの発生が長期的に減少したことが示された。
・ いずれかの介入で観察された唯一の長期的な負の影響は、メトホルミンによって腎疾患がわずかに増加したことであり、これは最も年齢の高いグループにのみ認められた。 マサチューセッツ総合病院の臨床研究センターおよび糖尿病センターのディレクター、ハーバード・メディカル・スクール薬学教授であるDavid M. Nathan医師は「DPP/DPPOSは、登録した症例を積極的に追跡し続けている最長かつ最大規模の予防試験だ。最新の結果は、2型糖尿病の予防が可能であり、重要な臨床効果があることを示している。糖尿病の発症に介入したDPPとDPPOSは、開始から長期間経った現在も、介入の効果を証明し、糖尿病患者を減少することに貢献し続けている。現在、DPPライフスタイル介入プログラムは、米国疾病管理予防センター(CDC)による全米糖尿病予防プログラム(NDPP)とメディケア・メディケイドサービスセンターが支援するメディケア糖尿病予防プログラム(MDPP)を通じて、全米のコミュニティでメディケア1受給者に提供されている」と述べた。 1 メディケアは、米国における65歳以上の高齢者と65歳未満の障害者向けの公的医療保険プログラム。 New Data from Diabetes Prevention Program Outcomes Study Shows Persistent Reduction of Type 2 Diabetes Development Over 22-Year Average Follow-Up
第80回米国糖尿病学会(ADA2020)ハイライト
・ 糖尿病患者への心理的ケア 3人に1人が必要な支援を受けていない
・ 1型糖尿病の発症がさらに遅れる 免疫抑制薬「テプリズマブ」の画期的な臨床試験が進行中
・ 次世代インスリン自動注入システムの研究報告 血糖コントロールが改善、TIRはより良好に
・ 糖尿病予防研究「DPPOS」から新しい報告 2型糖尿病の発症リスク減少が長期持続
・ TEDDY研究の最新報告 プロバイオティクスが小児1型糖尿病の発症リスクを低下
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]