よりよい糖尿病看護を目指して

Vol.5 食事療法を成功させるには?
新基準を機に指導を見直す

関東労災病院 糖尿病・内分泌内科 部長 浜野 久美子 先生
筆者について

糖尿病の治療で医療者も患者さんも苦労するのが「食事」かもしれません。
わたしたち医療者はついつい食べ過ぎを是正するだけの指導になっていなかったでしょうか?
今回は「糖尿病診療ガイドライン」の改訂を踏まえ、食事療法について考えます。

 最近は、食べ過ぎだけでなく食べなさ過ぎも問題であるとされ、食事療法の考え方が大きく変わってきました。一つは、「総エネルギー摂取量」の計算方法です。総エネルギー摂取量の算出に、いわゆる「標準体重」ではなく「目標体重」を用いることが示されました。
 標準体重とはBMI22となる体重をいいます。一方、目標体重とは年齢や病態によってBMIに幅を持たせた考え方です。昨年発行された「糖尿病診療ガイドライン2019」では、65歳未満でBMI22、65歳以上でBMI22〜25とし、75歳以上はフレイル、基本的ADL、併発症などその他の評価を踏まえ判断するとしています。これは、高齢者の場合BMIが低いとかえって死亡率が高くなることがわかってきたためですが、目標値に幅があると、患者さんも気持ちが少しは楽になるのではないでしょうか。
 総エネルギー摂取量は、目標体重に毎日の活動量を反映した「係数(kcal/kg)」をかけて算出しますが、係数の考え方も新しくなりました。多くの方が従事するデスクワーク中心の仕事スタイルの場合、従来は「軽い労作」に分類されていましたが、今回の診療ガイドライン改訂で、通勤・家事、軽い労作を含む際には「普通の労作」に変更され、係数が25〜30から30〜35に増えました。働き盛りの患者さんには吉報かもしれません。

 一方、肥満を伴う糖尿病患者さんではエネルギー制限による減量が治療上有用です。しかし、いわゆる標準体重を目標にするとハードルが高い患者さんも多いのではないでしょうか。最近では「現体重から3%の減量」でも血糖値が改善するといわれています。70の人で2〜3です。これなら達成できそうな気がしませんか?
 さて、食事指導の基本は今も昔も、患者さんの普段の食生活の把握からです。食事記録は、以前は食品交換表にもとづいて食材グラム数から記録していましたが、最近はスマートフォンアプリによる料理の写真での提出もできるようになってきました。でも、もしみなさんご自身が、食事記録を提出してと言われたらどうでしょうか。私だったら記録は面倒だし、手抜き料理が他人に知られて恥ずかしい!と思うかもしれません。食事量の自己申告は実際の摂取量より数十パーセントも過小評価されているともいわれます。食事指導の際はぜひ患者さんそれぞれの生活様式や食に対する思い、嗜好に応じたアプローチ方法で患者さんに接してみてください。

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