SGLT2阻害薬が心血管疾患を減少 心保護作用は同系薬の「クラス効果」か CVD-REAL試験

第77回米国糖尿病学会学術集会
 SGLT2阻害薬が既存の心臓血管疾患に対し幅広い有益性をもつことが、国際的な大規模研究「CVD-REAL試験」で明らかになった。
 SGLT2阻害薬以外の血糖降下薬で治療した患者と比較して、心臓血管疾患を発症した患者では、8ヵ月後に心不全による死亡率が31%低下したことが判明した。同様に、心血管疾患を発症していない患者(全集団の87%を占める)では、全死因死亡率は45%低下した。
SGLT2阻害薬が心不全リスクを低下
 SGLT2阻害薬を2型糖尿病患者の治療に使用すると、既存の心血管疾患の有無にかかわらず、心不全の死亡率および入院率が低下することが、5か国の30万人以上の2型糖尿病患者を対象とした大規模研究である「CVD-REAL試験」で明らかになった。詳細は6月に開催された第77回米国糖尿病学会学術集会で発表された。

 CVD-REAL試験では、米国、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、デンマークの5ヵ国の2型糖尿病患者30万6,156例の治療結果を解析。SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を減少させ、血液中のブドウ糖を尿中に排泄させることで血糖値を下げる薬剤だ。

 対象となったのは、糖尿病治療薬を使用しており、1年間以上の記録がある症例。新たにSGLT2阻害薬を開始した患者と、その他の血糖降下薬を使用している患者の間の、心不全入院リスクの比較を主要評価項目とした。

 抽出された患者129万9915例中、SGLT2阻害薬が投与されていた患者は16万10例、その他の血糖降下薬が投与されていた患者は113万9905例だった。SGLT2阻害薬とその他の血糖降下薬を服用した患者を傾向スコアを一致するために、年齢、性、心血管疾患の既往歴、使用している薬剤などの患者背景を揃えた1対1のコホート(306,156例)が作成された。

 その結果、5ヵ国の全てでSGLT2阻害薬により心不全が関連する死亡と心不全による入院の減少がみられ、その利点は使用されたSGLT2阻害薬に関わらず一貫してみられた。SGLT2阻害薬は、その他の血糖降下薬に比べ、心血管疾患患者では心不全の発生リスクが31%低く(HR 0.69; 95% CI 0.59-0.80)、心血管疾患の既往のない患者では45%低かった(HR 0.55 95% CI 0.34-0.88)。

 心不全が関連する死亡や、総死亡単独の発生リスクでも同様の結果がみられ、SGLT2阻害薬による治療を受けた患者は、その他の血糖降下薬を服用した患者に比べ、心不全の発生リスクが低下し、心不全のために入院する比率が有意に低く、死亡率も低い傾向がみられた。
心血管疾患のリスク減少はSGLT2阻害薬に共通した「クラス効果」
 昨年発表された「EMPA-REG OUTCOME試験」でもSGLT2阻害薬の治療効果を検証しているが、CVD-REAL試験では心血管疾患を有する2型糖尿病患者を対象としており、その一次予防の可能性も示されたのは画期的だ。

 「この研究は、糖尿病患者の転帰を改善するためのSGLT2阻害薬の可能性を示す新たなエビデンスとなります」と、ノースカロライナ大学医学部助教授のマシュー カベンダー氏は言う。

 「心血管疾患の合併に関わらず、SGLT-2阻害薬が全ての2型糖尿病患者に有益である可能性が示せたことで、今回の研究は一歩進んでいます。心血管疾患のリスク減少作用はSGLT2阻害薬に共通した"クラス効果"である可能性が強まりました」としている。

 過去の調査では、糖尿病患者ではそうでない患者に比べ、心不全のリスクが30%高いことが示されている。今回の知見は、SGLT-2阻害剤の使用が糖尿病患者の心不全の発症率を低下させる可能性があることを示唆している。

 なお研究者は、SGLT2阻害薬による進行中の無作為化臨床試験では、臨床効果に関してより多くの追加情報を提供する必要があると指摘している。この研究のフォローアップでは、他の重要な臨床事象に対するSGLT2阻害薬の有効性をさらに評価し、糖尿病患者と心血管イベントの既往歴のある患者を対象に、他の薬物との関連性を評価する研究に焦点を広げる予定だという。

SGLT2 Inhibitors are Associated with Reduced Cardiovascular Disease for Patients with Type 2 Diabetes(米国糖尿病学会 2017年6月13日)

[Terahata]

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