「フォシーガ」が慢性心不全に対する効能・効果の追加承認 2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性心不全治療薬として国内で最初に承認されたSGLT2阻害薬に

 アストラゼネカと小野薬品工業は、SGLT2阻害薬「フォシーガ錠5mg、10mg」(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について、標準治療を受けている慢性心不全に対する効能または効果の追加承認を取得したと発表した。
 フォシーガは、心血管死または心不全による入院を含む心不全の悪化による複合リスクを有意に低下させた初めてのSGLT2阻害薬となった。
転帰や症状の改善を必要とする慢性心不全に新たな治療選択肢を提供
 今回の承認は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全を対象とした第3相DAPA-HF試験の結果にもとづいている。同試験の結果は、「The New England Journal of Medicine」に2019年11月に掲載された。

 第3相DAPA-HF試験でフォシーガは、標準治療との併用で、主要複合評価項目をプラセボと比べて26%低下させた。また、主要複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方で、全体的にリスクが低下した。試験期間中、フォシーガ投与群では、患者21例ごとに、1件の心血管死、心不全による入院、または静脈注射による心不全治療につながる緊急受診を回避した。同試験におけるフォシーガの安全性プロファイルは、同剤のこれまでの安全性プロファイルと一致していた。

 DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する"DapaCare"という臨床プログラムの一部。このプログラムではまた、第3相DAPA-CKD試験で慢性腎臓病患者の治療を検証している。さらに、第3相DELIVER試験で左室駆出率が保持された心不全患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出ると見込まれている。

 なお、フォシーガは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、およびいくつかの国で、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認されている。

 第3相DAPA-HF試験の治験担当医師であり、阪和第二泉北病院院長/大阪大学医学研究科招へい教授である北風政史氏は「心不全とは、すべての心臓病の共通した臨床像であり、日本では約130万人が罹患しております。心不全に罹患する多くの患者さんは左室駆出率など心機能がかなり低下しており、その5年生存率は約50%と、がんより不良な悪性疾患といえます。心不全は、いろいろな薬物治療を行いますが、心不全治療に反応しないときは、心臓移植をする以外に根本治療がありません。現在の標準治療に追加で使うことのできる新しい効果的な治療選択肢があれば、心不全に苦しむ人々の福音になりますが、今回、フォシーガが心不全での適応をとれたことは、我々循環器医が心不全に対する大きな武器を手に入れたことになります」と述べている。

 「心血管死や心不全悪化のリスクを低下させるフォシーガの効果は、日本の多くの慢性心不全患者さんの生命予後を改善する可能性を有しています。今回の承認は、転帰や症状の改善を喫緊に必要とする慢性心不全患者さんに新たな治療選択肢を提供し、慢性心不全を管理する治療へと進歩させることになると考えています」と、アストラゼネカでは述べている。

フォシーガの慢性心不全に対する効能・効果の追加承認
* 添付文書における記載は次の通り――。

効能又は効果
慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

効能又は効果に関連する注意
左室駆出率が保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率等)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。

Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction(The New England Journal of Medicine 2019年11月21日)
フォシーガ錠5mg フォシーガ錠10mg 添付文書 (アストラゼネカ)
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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