糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント

第13回 スルホニル尿素(SU)薬(3)

加藤光敏 先生(加藤内科クリニック院長)

筆者について

初出:医療スタッフのための『糖尿病情報BOX&Net.』No. 39(2014年1月1日号)

 第3回はSU薬使用の心構えと他の薬との併用です。SU薬は安価でかつ強力なインスリン分泌刺激作用が特徴的です。この薬剤をどんな症例に用いたら良いでしょうか?教科書的には「分泌能が残存するインスリン分泌不全症例に適応。インスリン抵抗性の高い例はインスリン抵抗性改善薬を選択し空腹感に伴う肥満助長を防ぐ。」というのが模範解答でしょう。しかしいかがでしょうか?「血統よりも、乳を出す雌牛は良い雌牛」という諺が外国にありますが、「血糖を下げる薬はどんな薬でも良い薬」というのが真実です。なにせ血糖低下に我々はこれだけ苦労しているのですから。

SU薬をどのように考えるか

 血糖値の上昇は膵β細胞への強力なインスリン分泌刺激です。ところが慢性的な高血糖下では、膵β細胞は脱分極がしにくくなり、インスリン追加分泌能が極度に低下します。ここでβ細胞の残存症例にSU薬を使用すると、本連載1回目で書いた機序でインスリン分泌が起こります。そしてSU薬の助けを借りてβ細胞の細胞膜が脱分極、インスリン分泌が起こり、それまでの高血糖という慢性刺激にメリハリが出ることでβ細胞が休める時間帯が生じるのです。するとインスリン分泌力が改善、同時にインスリン抵抗性も不完全ながら改善されます(文献1)。それこそ「高い空腹時血糖を下げる薬は何であれ良い薬」なのです!

現在よく使用されているSU薬

 SU薬は、3種のみ知れば充分と考えますが、HbA1cが高いから低血糖が来ないと考えるのは誤りで、必ず少量から開始します(文献2)。

  • 1)グリクラジド(グリミクロン):20mgからがお勧めで、空腹時血糖低下が不十分な増量症例では朝夕分割投与を検討します。SU受容体への親和性が強くないため低血糖が起こりにくく、当院では高齢者のSU薬は原則これにしています。
  • 2)グリメピリド(アマリール):グリベンクラミドに比べてマイルドとされますが、半減期は1.5時間なのに、案外強力で長い作用時間を持ちます。0.5mg/日からの開始が無難です。筋肉、脂肪細胞の末梢組織や肝臓での膵外作用が血糖降下作用を強めるとされます。薬価が程々で発売3年でSU薬のトップシェアに躍り出た薬です。
  • 3)グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン):最も強力で現在もまだまだ多く使用されている持続時間の長い薬です。

服薬上の注意点

 HbA1cが下がってきても、SU薬のみでHbA1cを7%未満に持って行くのは無理があります。SU薬単剤でよいHbA1cの患者では高血糖と低血糖が同日に存在する可能性があります。これを解消するのが他剤との併用です。HbA1cが下げ止まったら、SU薬の増量ではなく他の低血糖を来しにくい薬との併用がお勧めです(文献3)。ただし、DPP-4阻害薬との併用初期の低血糖は、今後とも注意を要します。

 SU薬とグリニド系薬との併用は無意味ですが、他のどの経口血糖降下薬とも併用可能です。ただしGLP-1受容体作動薬では、平成25年12月現在、ビクトーザは併用するならSU薬のみ。バイエッタはSU薬使用が必須、ビデュリオンはSU薬・BG薬・TZDのうち2種までの併用が必須。リキスミアはSU薬またはSU薬・BG薬併用が必須で、インスリン併用時はSU薬のみ追加可能など(書ききれないので各々ご確認ください)、保険上の縛りが極めて複雑なので注意が必要です。

 前回「SU薬は持効型インスリンとして用いる」と書き、納得との感想を多く頂きました。SU薬の高容量は禁忌です。今回は「SU薬単独に固執せず、限界を感じたら増量でなく併用へ」とのメッセージを送りたく思います。

参考文献

  • 1) 加計正文「ホルモンと臨床」53:141-148,2005
  • 2) 佐藤 譲「月間糖尿病」Vol.3,No6 :41-51,2011
  • 3) 加藤光敏ら「Nikkei Medical」(9) :16-17:2005

関連情報

※記事内容、プロフィール等は発行当時のものです。ご留意ください。

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