ご応募いただいた体験談の中から選りすぐりを4コマ漫画にしてお届けしています。
ぜひ、皆さんの体験談をお聞かせ下さい!
「糖尿病って遺伝だから」「私が悪いんじゃなくて両親がいけないのよ」と言う患者。指導する度にこう言われてしまい、どうしていいやら。ご両親も糖尿病だからこそ、何が大切かわかるはずなのに…。でも糖尿病は一生物。諦めずに根気よく、患者とも糖尿病とも戦っていこうと思っています。
「遺伝だからしかたない」という言葉には、まだ糖尿病が受け止められていない様子がうかがえます。まずは、自分の体をよく観察することの意識づけから始めてはどうでしょうか?「遺伝だと、他にどんなことが気になりますか?」「ご両親も同じ病気なら、これからの様子もわかりますね?今できることを一緒に考えましょう」など声かけから関わり、遺伝をいい方向で使っていきましょう。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
指導をなかなか受け入れてくれない患者さんに、スーパーで遭遇。お菓子もたくさん入った私の買い物かごとは違い、患者さんのかごにはちゃんと野菜やお惣菜が!! 指導内容を受け入れてくれてたんだと嬉しくなりました。
退院後は以前の生活に戻ってしまう患者さんが多い中、普段の生活で療養行動を実践されているのはとっても嬉しいことですよね。「本当に効果あったのかな?」と不安に思うこともある患者教育への励みにもなります。そして、お菓子を買い込んだかごを見られた時はどう思いましたか?普段、患者さんへ教育していることは自分たちでも実行可能なことだったのか?振り返りにもなりますね。私も気をつけないと!
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
ある寒い日、認知機能が低下した患者さんが液晶画面が溶けた血糖自己測定器を持って病院に駆け込んでこられました。患者さんは真顔で「何もしていないのに」と困り顔。きっと良かれと思って測定器をストーブの上で温めたのではないでしょうか。怒るわけにはいかず、「測定器を温める」という指導だけでなく温め方までアドバイスするようにしないといけないと思いました。
溶けてしまった血糖自己測定器、私も医師も検査技師さんも初めて聞きました、驚きです。まず、高齢者の方には具体的に想像できる保管方法を一緒に考えるようにしています。家の中の置き場所を一緒に思い浮かべながら考えます。そして、いまや必須アイテムとなった携帯電話と同じように保管してくださいとも伝えています。凍ったり、高温にさらしたりすると作動に影響が出ることが想像しやすいと思います。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
入院中の糖尿病患者さんに、低血糖の主訴がほとんどなく困ったことがありました。60代のとても痩せた女性でした。ドクターの指示で決まった時間に血糖値を測定するのですが、そのとき初めて低血糖に気づいて大慌てしたことが数回。「具合悪くなかったですか?」と聞いても「少し寒気がするかも・・・?」程度の自覚症状しかありませんでした
無自覚性低血糖は、患者さん本人よりも関わるほうが慌ててしまいますよね。患者さんの低血糖への感度をすぐにあげることはできないので、まずは低血糖時に備えた対処方法を確実にしておくことが大事です。糖尿病手帳やカード、すぐ摂取できる飴などを常に持つこと、おかしいと感じたらすぐに座る心構えを伝えていきましょう。今年は低血糖時の点鼻薬が発売され、第三者が低血糖症状に対処しやすくなりました。このような方法を患者さんへ紹介するのもいいと思います。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
患者さんの血液が付着した自己管理ノートを見かけることがよくあります。患者さんが毎日血糖自己測定を頑張った証とはいえ、不衛生でもあり好ましくありません。新人の看護師だと驚く人も多いのでは?
自己管理ノートは血がついていたり、ご飯が挟まっていたり、いろいろと驚きます。血が止まる前に記載しているのかな? などと想像します。「せっかく一生懸命測っているのだから、汚したらもったいないです。血が止まるまで待ってください」「ご飯前の測定、慌てないでいいですよ」など、声掛けできるといいですね。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
50代男性で肥満の2型糖尿病患者さん。「膝が痛い」「昨日眠れなかった」などと言い訳が多く、運動療法の指導がなかなか進みません。きっかけになるような言葉がかけられず、私の言葉は急かしているだけのようにも感じてしまいます
肥満体形の患者さん。カフェでゆっくりしているのなら動いてほしいと、医療者なら誰もが思うことでしょう。ただ、「言い訳」と本人は思っていないのでしょうし、「膝が痛い」のも本意なのでしょう。これでは言葉かけだけでは難しいかもしれません。内服や検査と同様に治療として運動が必要なことをはっきりと伝え、少し時間をとって本人から「やれることは何か」を引き出してみるのはどうでしょうか。疼痛があってもできることを具体的に提案するのもいいかもしれません。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
インスリン注射治療を始めた2型糖尿病患者さん。注射を怖がるあまり「インスリンって飲んだらダメなんですか?」と言い出されてびっくり! 他の看護師も同じような患者さんを経験したことがあるそう。患者さんの発想に驚くとともに指導の難しさを痛感しました。
私は患者さんから実際に「飲んでみたよ」という報告を受けたことがあります。その時は医師とともにとても驚きました。添付文書には「飲んではいけない」という記載はないのですが、インスリンは注射投与で安全性が確認されている製剤です。自己注射導入の際、「注射という用法を必ず守ってください」と伝える必要があり、私たちにとって当たり前のことが、患者さんにとっては当たり前でないのだと考えさせられる事例です。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
療養相談時には、食事管理など頑張っている様子を看護師に訴える患者さん。記録を見ても血糖コントロールは悪くありません。しかし、いつも検査結果はHbA1c10~11%。血糖測定器を持参するよう指導しても聞いてもらえず対応が難しいと感じています。
頑張っています、という患者さんに「検査値が悪いので何か隠れて食べてますね、正直に言ってください」「嘘つくな」と疑ってかかる糖尿病警察にはなりたくないですよね。結局は本人から情報を引き出すしかないのです。血糖測定器持参も拒否、後ろめたい気持ちがあるんだと勘ぐってしまいますが、ぐっとこらえて。しばし、お付き合いする気持ちで「一緒に生活を見直しましょう、どうしても値がよくならないんです、何が悪さをしているのかはっきりさせたいんです」とお誘いをしてみるのはどうでしょうか。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
ご高齢の患者さんが、インスリン注射を空打ちされた際の “ほっこり”したエピソードです。目が悪いために注射器から出てくる薬剤が目視できず、また指が濡れる感触もなかったようで、慌てた患者さんの手元がブレて、薬剤が明後日の方向に飛んでしまいました。
ご高齢で視力低下、手指の動きにも不便がある中で、2単位分の空打ちに取り組んでおられる姿、本当に応援したいですね。空打ちの確認には、手の甲を差し出して、飛ぶインスリン液で甲が濡れるのを確認する、または色紙に液を飛ばして濡れて色が変化することを確認するというのはどうでしょうか。そもそも空打ち自体が忘れがちな手技です。まずは「空打ち」を忘れないということに焦点を置いて練習してもいいと思います。
健康診断で高血糖が発覚。20代で、しかも看護師なのにと恥じていました。しかし、思い切って患者さんに打ち明けたところ、互いに共感し合え、指導にも関心を持ってもらえるようになりました。今後も患者さんに寄り添った指導をしていきたいです。
血糖が高い、糖尿病であることは悪いことではないと頭で理解していても、他人に、まして患者さんに自分のことを打ち明けるのはやはり勇気がいることですね。でも、患者さんの思いを同じ立場で理解できたことは、これからた<さんの患者さんと関わる上で、大切な経験になると思います。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
2型糖尿病で食事制限をかけている入院患者さんのエピソードです。他に、ベッドの下にお酒を隠し持っている患者さんもいました。 食事管理の大切さを理解してもらうのは、なかなか難しいです。
隠れて行動しているということは、うしろめたさをもっているからこそです。その患者さんを叱咤しても解決にはならず、ますます隠れてしまいかねません。まずは事実を確認して、相手の言いたいことを十分に、さえぎらずに聞き、言い分を理解したことを伝えてから、感情的にならずにいまは治療が必要な身体であることを相手に伝えることが大切です。
木下 久美子 先生
(関東労災病院 糖尿病看護認定看護師)
ここでご紹介する記事は、糖尿病リソースガイドが発行する看護師向けニュースレター『DM Topics for Nursing』(提供:三和化学研究所)に掲載されたものです。
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