「スマートインスリンペン」2種を日本で承認申請 インスリン投与データを自動的に記録 ノボ ノルディスク ファーマ

2021.03.02
 ノボ ノルディスク ファーマは、糖尿病患者にデジタルコネクティビティを提供する「スマートインスリンペン」(インスリンペン型注入器)2種について、承認申請を厚生労働省に提出したと発表した。

インスリン投与データを経時的に記録し、振り返ることができるインスリンペン型注入器

 「スマートインスリンペン」は、インスリン投与データ(投与単位・投与時間)を自動的に記録し、スマートフォンと連携することで、患者が自身のインスリン投与データを経時的に記録し、振り返ることができるインスリンペン型注入器。

 これにより、患者と医療従事者との話し合いを充実させ、より良い治療効果と長期的な転帰に結びつけるための用量調整の支援が可能になるとしている。また、血糖値データを記録する糖尿病管理アプリと組み合わせることで、患者と医療従事者が糖尿病管理に必要な情報を容易に入手できる可能性がある。

 「スマートインスリンペン」の主な特徴は以下の通り――。

・ 投与履歴をNFC(Near Field Communication近距離通信システム)対応のスマートフォンアプリに無線転送可能。

・ 注射機能とは別*に「最後の注射単位および最後の注射からの経過時間」を表示。

・3mLのペンフィルカートリッジで販売されている5種類のインスリンアナログ製剤(フィアスプ注、ノボラピッド注、トレシーバ注、レベミル注、ノボラピッド30ミックス注)が使用可能。

* 安全性を重視し、メモリー表示機能と注射機能を独立させている。

 インスリンは長年にわたって進化をしているが、糖尿病患者は今なおインスリンの投与を手入力で記録しており、血糖値が正常範囲内にとどまる時間は、平均して1日当たり約12時間ほどという報告がある。

 ノボ ノルディスクの新しい「スマートインスリンペン」を使用して実施されたスウェーデンの研究結果によると、1型糖尿病の患者で血糖値を正常範囲内に維持できる時間が1日当たり平均で約2時間増加した。*

* Increased time in range and fewer missed bolus injections after introduction of a smart connected insulin pen(Diabetes Technology & Therapeutics 2020年3月11日)

 「スマートインスリンペン」 (インスリンペン型注入器)2種は2月現在で、EU(2018年6月)およびカナダ(2020年11月)で承認されている。

 「スマートインスリンペンとインスリンおよびデバイスにより、患者さんは治療を管理しやすくなる可能性があります。スマートインスリンペンにより、インスリンの打ち忘れ軽減やアドヒアランスの改善などが見込めることで、糖尿病患者の治療効果を高める可能性があると考えられます。1985年に世界で初めて登場したインスリンペン型注入器であるノボペンの開発に注がれた約35年余りの経験が礎となっているスマートインスリンペンを通じ、私たちは引き続き糖尿病患者さんと医療従事者のニーズについて理解を深め、毎日の糖尿病管理の課題に対処し、患者さんの健康と生活の質の向上に取り組んでまいります」と、同社では述べている。

ノボ ノルディスク ファーマ

関連情報

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料