「ライゾデグ 配合注」 臨床診療で他のインスリン治療から切り替えた日本人2型糖尿病患者での安全性と有用性を検討

2021.02.12
 ノボ ノルディスク ファーマは、日本人2型糖尿病患者での「ライゾデグ 配合注」(インスリン デグルデク/インスリン アスパルト)の安全性と有用性を検討するリアルワールドエビデンス調査研究について、「Advances in Therapy」に発表した。

血糖コントロールで統計的に有意な改善 75歳超の患者でも有意な結果に

 今回の後向きリアルワールドエビデンス調査研究では、メディカル・データ・ビジョンのデータベースから取得したデータを使用し、過去にインスリンによる治療を受けた1万798例の日本人2型糖尿病患者のうち、「ライゾデグ 配合注」による治療を開始した患者を対象としている。

 「ライゾデグ 配合注」は、超速効型インスリン(インスリン アスパルト)と持効型インスリン(インスリン デグルデク)を3:7のモル比で含有する配合溶解インスリンの注射剤。1日に1~2回、主たる食事の直前に投与する。基礎インスリン画分であるインスリン デグルデクは、定常状態で平坦な薬物動態プロファイルを24時間以上維持し、血糖降下作用を安定して持続的に発揮する。追加インスリン画分であるインスリン アスパルトは、作用持続時間が短い超速効型の成分であり、注射後直ちに効果を発揮し、食後高血糖を抑える。同薬は2015年12月から日本で販売されている。

 同調査研究から、日本人2型糖尿病患者のうち、現行のインスリン治療から「ライゾデグ 配合注」による治療に切り替えた患者では、経過観察期間(12ヵ月)での血糖コントロールで統計的に有意な改善(n=364、ベースラインのHbA1c 8.4%、ベースラインから観察後12ヵ月までの変化量 -1.23%、95%信頼区間 [−1.43, −1.02]、p<0.001)、ならびに経過観察期間(12ヵ月)での低血糖イベントの発現割合で統計的に有意な低下(ベースライン2.6%、観察後12ヵ月時点2.1%、相対リスク0.80、95%信頼区間 [0.67, 0.95]、p=0.011)が認められた。

 また同調査のサブグループとして検討した75歳超の患者でも、統計的に有意な結果が示された(n=137、ベースラインのHbA1c 8.4%、ベースラインから観察後12ヵ月までの変化量 -1.38%、95%信頼区間 [−1.65, −1.11]、p<0.001)。

 同論文の筆頭著者である、高槻赤十字病院 糖尿病・内分泌・生活習慣病科 部長の金子 至寿佳 先生は、次のように述べている。
 「この調査研究は、日本人2型糖尿病患者に対するインスリン治療について、ライゾデグ 配合注の実臨床でのベネフィットを示しています。さらにライゾデグ 配合注を投与された患者のうち、高齢者についても重要な結果を示しています。高齢患者についての臨床上のエビデンスは比較的限られているため、今回の調査は実臨床で意思決定をする際に大いに役立つことが期待できます」。

 同論文の著者らは、同調査結果が観察下での差を示していることを認めているが、原因と結果について確固たる結論を導き出すことはできず、測定されていない交絡を含む、後向きデータベース研究の多くの一般的な限界があることを指摘している(すなわち、同調査の転帰に影響を及ぼした可能性のある測定されていない要因の違いなど)。

 なお、この調査研究は、「ライゾデグ 配合注」の承認された適応範囲を補完するための同薬に関する補足情報を提供しており、同薬の適応外使用を促進するものではないとしている。

ライゾデグ 配合注(医薬品医療機器総合機構)
ノボ ノルディスク ファーマ

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