【新型コロナ】高齢で基礎疾患があると死亡リスクは上昇 80歳以上で基礎疾患のある患者では致命率は20%超 国立感染症研

2021.01.05
 国立感染症研究所が、日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の年齢別の致命割合を公表した。COVID-19レジストリデータを用いた調査で、病原微生物検出情報(IASR)の速報として発表したもの。
 感染自体は若い人でも、高齢の人でも、起こりうるが、高齢者では年齢が高くなるほど重症化しやすく、とくに基礎疾患のあり高齢者は致命率が高くなることが示された。

致命割合は全体で4.2% 年齢が高くなるにつれて上昇

 国立感染症研究所は、COVID-19レジストリデータを用いた調査により、日本の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の年齢別の致命割合を公表した。

 対象となったのは、2020年9月30日までに433施設に入院した患者(死亡退院を含む)1万2,599人(60歳以上が37.6%)。

 統計などでは通常は、「死亡率」が「一定期間における死亡数/診断症例数」として用いられるが、今回の調査については、現在流行している病気の死亡者数を集計しており、一定の観察期間を想定していないため、「症例致命割合」(Case Fatality Ratio)として算出した。これは、「死亡数/流行疾病の診断症例数」として用いるもの。

 その結果、症例致命割合(CFR)は、全体で4.2%(60歳未満は0.3%、60歳以上は10.7%)と、60歳未満ではほとんどの人は生存していることが分かった。

 しかし、基礎疾患のある人の致命割合は、60歳未満は1.0%、60~64歳4.4%、65~69歳7.2%、70~74歳7.5%、75~79歳12.8%、80歳以上20.5%と、基礎疾患のない患者に比べ高く、年齢が高くなるにつれて上昇することが分かった。

 基礎疾患がない人の致命割合についても、60歳未満0.1%と低いが、70~74歳で3.7%、80歳以上12.8%と、やはり年齢が高くなるにつれて上昇する。

 なお、今回の調査では、下記の基礎疾患をひとつでも有する者を基礎疾患のある患者とした。
心疾患(心筋梗塞・うっ血性心不全)、末梢血管疾患、脳血管障害、片麻痺、認知症、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患:COPD、慢性肺疾患、気管支喘息)、肝機能障害、腎機能障害、高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満、消化性潰瘍、固形癌、リンパ腫、白血病、膠原病、HIV/AIDS。

 感染研は、2020年7月の時点で入力が完了していたCOVID-19入院患者2,638例について、症例の半数以上が男性であり、全体の60%近くがCOVID-19感染者との濃厚接触歴があったこと、基礎疾患として多かったのは高血圧(15%)、合併症をともわない糖尿病(14.2%)で、66.9%の患者が自宅退院し、7.5%が入院中に死亡したことなども報告している。

 感染研は今回の研究について、「退院が完了した症例からデータの登録を行うため直近の症例の中でも入院が長期化している症例は含まれていないこと、死亡は転帰項目をもとに収集しておりCOVID-19との明確な因果関係を調査する項目は取得していないこと、本データ12月2日時点で登録された症例を対象とした結果でありレジストリの登録状況により値が変動すること、一部欠損項目があり加算数と総数が一致しないことがあることに留意が必要」としている。

国立感染症研究所 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報

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