【新型コロナ】糖尿病網膜症のあるCOVID-19患者は気管挿管の頻度が5倍以上 呼吸不全リスクが高い可能性

2020.12.11

糖尿病網膜症がCOVID-19による挿管リスクと関連

 糖尿病網膜症を有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、気管挿管が必要になる頻度が5倍以上高いことが分かった。英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のAntonella Corcillo氏らが行った単施設コホート研究の結果であり、詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」に11月2日掲載された。

 Corcillo氏らは、3月12日~4月7日のCOVID-19入院患者連続187人を対象として、網膜症の有無とCOVID-19の転帰との関連を検討。対象者の平均年齢は68歳(22~97歳)、60%が男性で、HbA1cは8.6±2.7%であり、1型糖尿病患者が8人含まれていた。また67人(36%)が網膜症を有していた。

 入院中に49人(26%)に対して気管挿管が施行されていた。統計解析は、まず単変量解析により気管挿管とP値0.1未満で関連する因子を抽出。その後、それらを変数とした多変量解析を施行して、気管挿管に独立して関連する因子のオッズ比(OR)を求めた。

 単変量解析の結果、以下の因子との関連が認められた。年齢(r=-0.39、P<0.001)、糖尿病罹病期間(r=-0.17、P=0.03)、大血管症(r=-0.25、P=0.001)、慢性腎臓病(r=-0.14、P=0.06)、網膜症(r=0.13、P=0.09)、およびBMI30以上(r=0.23、P=0.01)。性別やHbA1c、入院時の血糖値、eGFR、高血圧はP値が0.1を超えていた。

 多変量解析の結果、気管挿管と独立して関連する因子として、年齢(OR0.89、95%信頼区間0.84~0.95)と、網膜症の存在(OR5.81、同1.37~24.66)の2項目が抽出され、網膜症を有することは気管挿管のリスクが5倍以上高い可能性が示された。

 著者らはこの結果から、「網膜症などの糖尿病性血管合併症の存在は、重症COVID-19患者の呼吸不全に対する脆弱性と感受性を高める可能性があると考えられる」とまとめている。加えて、「網膜症とそれ以外の血管合併症の存在や既往歴を確認することが、COVID-19重症化リスクが高い患者を特定するのに役立つ可能性がある」と述べている。

[HealthDay News 2020年12月1日]

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