SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠」 慢性心不全に対する適応拡大の国内承認を申請 第3相試験EMPEROR-Reduced試験にもとづき

2020.11.27
 日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーは、日本ベーリンガーインゲルハイムが、SGLT2阻害薬「ジャディアンス錠」(一般名:エンパグリフロジン)について、慢性心不全に対する適応拡大の製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省へ行ったと発表した。

心不全患者で、心血管死または心不全による入院の相対リスクなどを低下 eGFR低下も遅らせる

 この申請は、国際共同第3相試験EMPEROR-Reduced試験の結果にもとづくもの。同試験では、糖尿病合併の有無を問わない左室駆出率が低下した心不全患者で、エンパグリフロジンは心血管死または心不全による入院の相対リスクを25%、心不全による入院の初発および再発の相対リスクを30%低下させ、腎機能の指標であるeGFRの低下を遅らせた。

 また、追加の探索的な解析により、エンパグリフロジンの投与は、末期腎不全や重篤な腎機能低下などから成る腎複合評価項目の相対リスクを50%低下させたことが明らかになった。

 さらに、EMPEROR-Reduced試験におけるエンパグリフロジンの安全性プロファイルは、これまでに確立されたエンパグリフロジンの安全性プロファイルと同様だった。

* 探索的な腎複合評価項目には、慢性的な透析や腎移植、eGFRの40%以上の持続的低下(CKD-EPI)、eGFR 15mL/分/1.73m²未満への持続的低下(ベースラインのeGFRが30 mL/分/1.73m²以上の患者)、またはeGFR 10mL/分/1.73m²未満への持続的低下(ベースラインのeGFRが30mL/分/1.73m²未満の患者)が含まれる。

 EMPEROR慢性心不全試験の臨床試験プログラムは、現在心不全の標準治療を受けている2型糖尿病合併または非合併の左室駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者または左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者を対象に、エンパグリフロジンの1日1回投与による治療をプラセボと比較検討するEMPEROR-Reduced試験とEMPEROR-Preserved試験の2つの第3相無作為化二重盲検試験で構成されている。

 なお、日本でのジャディアンス錠の効能・効果は2型糖尿病であり、2020年11月27日現在で、慢性心不全の治療薬として国内外で承認されていない。

Cardiovascular and Renal Outcomes with Empagliflozin in Heart Failure(The New England Journal of Medicine 2020年10月8日)

ベーリンガープラス(日本ベーリンガーインゲルハイム)

日本イーライリリー

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料