「『合併症を予防する』支援と『合併症を持ちつつ生きる人』への支援」 第25回日本糖尿病教育・看護学会レポート(3)

 25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会が2020年9月19日(土)~20日(日)ライブ配信、9月21日(月)~27日(日)オンデマンド配信で開催された。
 会長講演では、本学術集会会長である弘前学院大学看護学部の土屋陽子先生が「患者に寄り添う『合併症を予防する』支援と『合併症を持ちつつ生きる人』への支援」と題して講演した。
第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会
会長講演「患者に寄り添う「合併症を予防する」支援と「合併症を持ちつつ生きる人」への支援」
講師:土屋陽子(弘前学院大学看護学部)
看護師は対等な立場で患者さんを支援
 大学の教員をしながら、定期あるいは不定期に外来や病棟、患者会などで糖尿病のさまざまな段階にいる患者さんから個別の療養相談を受けてきた。本日はその中で特に大切にしていることをお伝えしたい。

 これまでの糖尿病患者さんや糖尿病療養指導・相談を担う看護師を中心とした人々との関わりを振り返った。私が大切にしてきたことは、糖尿病患者さんは糖尿病を持ちながら社会の中で生活している人であると尊重したうえで、話をしっかりと聴き、語られた気持ちや体験を理解できたと実感したとき、それを本人に伝えることであったと思う。これは、患者さんの気持ちに寄り添いながらできることを見つけ、同意を得ながら支援する、現在の糖尿病患者さんに対する支援の基本で、ごく当たり前のことだ。

 しかし過去の糖尿病患者教育では、看護師は患者さんに糖尿病について正しい知識と技術を教え、それらを実行してもらうことで病気の進行を遅らせるように関わるとされていた。看護師は、指導する立場で患者さんと関わっていた。患者さんがうまく対応できないのは、患者さんに原因があり、その原因を特定して関わっていくという姿勢であった。

 現在の糖尿病療養指導には、看護の教育的関わりモデルが取り入れられ、エンパワーメント、行動変化ステージモデル、コーチングなどの考え方が徐々に浸透し、実践する人が増えた。看護基礎教育においてもこれらの理論が取り入れられている。

 患者指導や看護に関する書籍や文献には、患者さんに知識や技能を与えるだけでなく、心理および社会面を考慮し、得られた知識を応用して実行可能とする方法を患者さんとともに見つけ出すことが必要と記載されている。

 看護師は、患者さんと対等の立場で共同して糖尿病に立ち向かい、患者さんが自己実現できるよう支援する役割であると広く認識されている。
看護師が患者さんの気持ちに寄り添って援助を続けるためには仲間が必要
 糖尿病患者さんが必要とする支援を届けることができているだろうか、患者さんが糖尿病に対する正しい知識に心から納得できず、医療者に本音を語っていないことはないかと考えたことはあるだろうか。20数年前は、正しい知識を伝えることを優先していたことがあったと思う。

 患者さんたちとの出会いの中で、それでは患者さんが生きるうえで良い方向に進まない、患者さんに役立つケアにはなっていないと気づいた。患者さんの気持ちを受け入れることによって、寄り添うことができる、心をオープンにしたことによって、気持ちが寄り添えたと実感した体験がある。

 糖尿病を持ちながら生活している患者さんに対して、看護師が患者さんの気持ちに寄り添って支援を続けるためには、関わり始めは意識的に状況を作り出す必要がある。一人で続けることは難しく、認めてくれる仲間が必要だ。

 土屋氏は「私たちが取り組んでいることを一緒に振り返り、評価し、認め合える環境を作ることができるよう、糖尿病患者さんを支える仲間を募って話し合う場を設けることが重要だ。その活動が糖尿病のあらゆる状況にいる患者さんを支援する輪を大きくしていくことにつながる」と強調した。

 本学術集会が、合併症が進行している人や、透析療法を受けざるを得ない(受けている)人や、失明や下肢切断をした患者さんたち、つまり「合併症を持ちつつ生きている人々」への支援について今一度じっくり考える機会となることを願っている。

第25回日本糖尿病教育・看護学会レポート

[Shiga]

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