「糖尿病患者が、最期まで『自分らしく生きる』を地域で支えるために」 第25回日本糖尿病教育・看護学会レポート(1)

2020.09.29
 25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会が2020年9月19日(土)~20日(日)ライブ配信、9月21日(月)~27日(日)オンデマンド配信で開催された。
 教育講演1では、在宅緩和ケア充実診療所ケアタウン小平クリニックの山崎章郎先生が「糖尿病患者が、最期まで『自分らしく生きる』を地域で支えるために」と題して講演した。
第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会
教育講演1「糖尿病患者が、最期まで『自分らしく生きる』を地域で支えるために」
講師:山崎章郎(在宅緩和ケア充実診療所ケアタウン小平クリニック)
座長:菊池結香(盛岡つなぎ温泉病院)

緩和ケアは医療を超えた概念

 現在、医師として在宅での緩和ケアを担っているが、医師としては外科医からスタートした。一般病棟で多くのがん患者を見送るうちに、一般病棟での終末期医療に限界を感じるようになり、その限界をホスピス病棟で打ち破ることができると考え、ホスピス病棟に携わるようになった。ホスピス病棟の患者さんやそのご家族は提供されるケアに満足しているとおっしゃるものの、「やっぱり自宅にいたかった」と本音を漏らす患者さんも多くいらっしゃった。その思いに応えるため、ホスピスで待っているのではなく地域に出ようと、ケアタウン小平チームを始めた。

 緩和ケアの定義としては、世界保健機関(WHO)が2002年に提唱した「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者さんとそのご家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである」が広く用いられている。

 山崎氏は「緩和ケアは医療を超えた概念であり、緩和ケアに取り組むということは、生命を脅かされている患者とその家族に対して、医療的支援、心理的支援、社会的支援、そしてスピリチュアルな支援を適切に行うことだ。緩和ケア病棟はWHOの緩和ケアの定義に基づいたケアを行う病棟であり、在宅緩和ケアはWHOの緩和ケアの定義に基づいたケアを在宅で行うことを意味している」と強調している。

 ケアタウン小平では、WHOの定義に基づいた在宅での緩和ケアを目指している。それは、人生を在宅で応援するだけでなく、最後まで住みたい地域社会(コミュニティ)をつくることと考えている。体力が低下してさまざまな困難に直面すると、人権が守られにくくなる。がん、糖尿病、認知症、どのような疾患であっても、最期まで人権が守られ、尊厳と自立(自律)をもって人間らしく暮らせることを保証する、つまり、自分らしく、人間らしく生きることを保証するコミュニティが必要と考えている。

追い詰められた環境の中で必要なことは励ますことではない

 ケアタウン小平チームは、山崎氏が院長を務める在宅療養支援診療所と、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、デイサービス、ボランティア、子育て支援などのNPO法人、配食サービス会社で構成される。それぞれ独立した事業体であるが、建物1階にあるため、緩和ケア病棟のようにいつでもカンファレンスを開催することができ、患者の身体的変化や精神的変化、その変化を見守る家族が直面する苦悩を、いち早く共有して適切に対処することができる。

 医療、看護以外には、文化・スポーツ倶楽部事業、地域交流などの企画・運営事業、豊かな庭づくり事業、子育ておよび子供の教育に関する相談支援事業にも取り組んでいる。地域の人々が交流する場として、毎年、ケアタウン小平応援フェスタを開催し、地域のお祭りとして周辺住民に受け入れられている。子育て支援と緩和ケアには関連がないように思われるかもしれない。がん患者の緩和ケアを通して、追い詰められた環境の中で必要なことは励ますことではないと実感することがある。子供たちもいじめや不登校などの問題を抱え、励まされて苦しんでいる場合があるのではないか、そうであれば、励まされることなく自由に遊べる環境が必要ではないか、私たちでその環境を提供しようと始めた。

 ケアタウン小平の活動は、生命を脅かされる疾患に直面しつつも、最期まで「自分らしく生きる」を支える仕組みであり、その仕組みは疾患を問わず必要とされている。糖尿病医療の参考になれば幸いである。

第25回日本糖尿病教育・看護学会レポート

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