慢性心不全治療薬「エンレスト錠」を発売 RAASの過剰な活性化を抑制し、内因性のナトリウム利尿ペプチド系を増強

2020.08.26
 ノバルティス ファーマは、慢性心不全治療薬「エンレスト錠」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)を発売した。
 同剤は、心不全の病態を悪化させる神経体液性因子の1つであるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の過剰な活性化を抑制するとともに、RAASと代償的に作用する内因性のナトリウム利尿ペプチド系を増強し、神経体液性因子のバランス破綻を是正する。

一剤で慢性心不全の神経体液性因子のバランス破綻を是正

 慢性心不全治療薬「エンレスト錠」は、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)。効能・効果は「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」。

 「エンレスト錠」は、有効成分としてネプリライシン阻害作用をもつサクビトリル、およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサルタンを1:1のモル比で含有する単一の結晶複合体。

 ACE阻害薬、ARBなどの降圧薬は、心不全の病態を悪化させる神経体液性因子の1つであるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制するにとどまるが、「エンレスト錠」は、RAASの過剰な活性化を抑制するとともに、RAASと代償的に作用する内因性のナトリウム利尿ペプチド系を増強し、一剤で神経体液性因子のバランス破綻を是正する。

 なお、同剤の日本国内での医療従事者への情報提供活動は、ノバルティス ファーマと大塚製薬が共同で実施する。

 同剤は、米国およびEUを含む世界100ヵ国以上で承認されており、米国では、収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)患者の治療を適応としており、欧州では、成人の左室駆出率が低下した症候性慢性心不全を適応として承認されている。

エンレスト錠

エンレスト錠の概要
製品名 エンレスト錠50 mg、100 mg、200 mg
一般名 サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
効能または効果 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
用法および用量 通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回50mgを開始用量として1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に1回200mgまで増量する。1回投与量は50mg、100mg又は200mgとし、いずれの投与量においても1日2回経口投与する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。
承認取得日 2020年6月29日
薬価基準収載日 2020年8月26日
薬 価 エンレスト錠50 mg 65.70円 エンレスト錠100 mg 115.20円 エンレスト錠200 mg 201.90円
製造販売 ノバルティス ファーマ株式会社

エンレスト錠50mg/エンレスト錠100mg/エンレスト錠200mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料