「フィネレノン」の2型糖尿病合併CKD対象の第3相試験 腎疾患・心血管疾患を抑える初のMR拮抗薬 バイエル
2020.07.15
バイエル薬品は、「フィネレノン」の第3相試験で、同剤が慢性腎臓病(CKD)の進行、腎不全または腎臓死で構成する主要複合評価項目の発現を有意に低減したと発表した。同剤は心血管死または非致死的な心血管イベントで構成する副次複合評価項目の発現も有意に低減した。
「フィネレノン」は、2型糖尿病を合併するCKD患者で、腎疾患および心血管疾患の進行に対する有用性を示したはじめての非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬となる。
「フィネレノン」は、2型糖尿病を合併するCKD患者で、腎疾患および心血管疾患の進行に対する有用性を示したはじめての非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬となる。
eGFR低下、腎臓死のリスクを低減、CKDの進行を抑制
バイエル薬品は、第3相試験「FIDELIO-DKD」で、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者を対象に、「フィネレノン」を標準治療に上乗せした場合のプラセボに対する有効性と安全性を検討した結果、主要評価項目を達成したと発表した。 同試験で、「フィネレノン」は複合評価項目(腎不全の発症、4週間以上持続するベースライン時点から40%以上の持続的な推定糸球体濾過率[eGFR]低下、腎臓死)の最初の発現までのリスクを有意に低減し、CKDの進行を抑制したことが示された。 また、「フィネレノン」は副次複合評価項目(心血管死または非致死的心血管イベント[非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院])の最初の発現までのリスクも有意に低減した。 「フィネレノン」は、臨床開発中の新規非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬で、MR系の過剰活性化による悪影響を抑制する。MRの過剰活性化は、心臓や腎臓における障害の主な原因となる。2型糖尿病を合併するCKDを対象に1万3,000人規模の第3相試験を展開
2型糖尿病を合併するCKDを対象とした「フィネレノン」の第3相試験プログラムは、腎臓および心血管系それぞれの主要評価項目に関して、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対する同剤の効果を検討する2つの試験で構成され、世界中で1万3,000人以上の被検者が無作為割付けされている。 「FIDELIO-DKD」試験は、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、「フィネレノン」とプラセボを検討した無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多施設、イベント主導型第3相試験。 同試験には、世界48ヵ国の1,000以上の施設から約5,700人の被験者が登録された。被験者は、標準治療として血糖降下剤、RAS阻害薬(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]など)の最大耐用量に上乗せして、「フィネレノン」10mgまたは20mgを1日1回経口投与する群、もしくはプラセボを投与する群に無作為割付けされた。 「FIGARO-DKD」試験も進行中であり、欧州、日本、中国、米国など47ヵ国から登録された2型糖尿病を合併するCKD患者約7,400人を対象に、心血管疾患の罹患率と死亡率の低減に関して、標準治療に上乗せしたときのプラセボに対する「フィネレノン」の有効性と安全性を検討している。 同社は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第3相試験「FINEARTS-HF」の開始も発表した。同試験では、左室駆出率40%以上の症候性心不全(HF)患者(NYHA心機能分類Ⅱ-Ⅳ度)5,500人以上を対象に、「フィネレノン」とプラセボを比較検討する。主要目的は、心血管死およびすべての(初発および再発)HFイベント(HFによる入院またはHFによる緊急受診と定義)の複合評価項目の発現率減少について「フィネレノン」の優越性を検証すること。 バイエル薬品[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]