【新型コロナウイルス】重症COVID-19患者を対象とした「ケブザラ」のグローバル臨床試験 米国外で第1例の患者に投与

 サノフィは4月2日、関節リウマチ治療薬「ケブザラ」(一般名:サリルマブ)について、入院中の重症COVID-19患者を対象としたグローバル臨床プログラムの一環として、米国外での最初の患者の治療を開始したと発表した。
COVID-19患者の肺の炎症反応にIL-6経路が関与
 このグローバル臨床プログラムは、ケブザラCOVID-19プログラムの一部として行われる2番目の第2/3相多施設共同二重盲検試験で、COVID-19の影響を受けているイタリア、スペイン、ドイツ、フランス、カナダ、ロシア、米国で開始されている。日本も国際共同臨床試験開始に向けて準備中だ。

 同社とRegeneron社は、3月に米国で初の第2/3相試験を開始したと発表ており、今回の試験は同試験に続いて開始したものだ。

 「ケブザラ」は、ヒト型抗IL-6受容体モノクローナル抗体製剤で、インターロイキン6(IL-6)受容体に結合して遮断することで、IL-6シグナル伝達経路を阻害する働きをもつ。COVID-19の重症または重篤例の肺では強い炎症反応がみられ、この炎症反応にIL-6が関与していると考えられている。

 「ケブザラ」は、COVID-19にみられる過度な炎症性免疫反応を緩和する可能性があり、検討が進められている。中国では、他の抗IL-6受容体阻害薬を用いた単群試験が行われ、同試験で得られた予備的データよりIL-6の関与が裏付けられている。
中国では患者の75%で発熱が速やかに改善
 米国外での臨床試験では、通常の支持療法に加えて「ケブザラ」の静脈内投与を1回行い、その安全性と有効性を支持療法にプラセボを追加した場合と比較する。

 この試験は2期からなるアダプティブ・デザインの研究で、参加者は約300名となる見込みだ。試験では、数ヵ国から重症または重篤なCOVID19入院患者を対象に登録が行われる。

 試験の第2相部分では、被験者を2:2:1の比率で「ケブザラ」高用量群、「ケブザラ」低用量群およびプラセボ群に無作為に割り付ける。第2相部分(第2期)の所見に基づき、第3相部分の評価項目、患者数と投与量を決定した上で試験を行う。

 重篤なCOVID-19患者では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)があらわれるが、ARDSをもたらす炎症性免疫反応で重要な役割を果たすサイトカインがIL-6であることを示す予備的なエビデンスはすでに得られている。

 中国から発表された21名のCOVID-19患者のコホートを検討した報告書(査読前)によると、抗IL-6受容体抗体製剤(トシリズマブ)の投与を受けた患者の75%(20名中15名)で発熱が速やかに改善し、酸素療法の必要性が低下した。

 これらの結果に基づき、中国はCOVID-19治療ガイドラインを改定し、当該IL-6阻害薬を重症・重篤例の治療薬として用いることを承認した。

 COVID-19の症状の治療薬としての「ケブザラ」の使用は現在臨床開発中で、安全性および有効性の評価は現時点ではいずれの規制当局においても完了していない。

 「中国で行われた単群試験のデータからは、COVID-19患者の肺でみられる過剰な炎症反応にIL-6経路が関与している可能性が示唆されています。これは期待が持てる所見ですが、適切に設計された無作為化試験を行い、ケブザラの真の影響を理解することが不可欠です」と、Regeneron社では述べている。

ケブザラ皮下注150mgシリンジ/ケブザラ皮下注200mgシリンジ/ケブザラ皮下注150mgオートインジェクター/ケブザラ皮下注200mgオートインジェクター 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)

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[Terahata]

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