ミトコンドリア機能を改善する2型糖尿病治療薬「Imeglimin」 日本での第3相臨床試験は良好な結果に
2019.11.27
Poxel社は、2型糖尿病を対象に、日本で実施された「Imeglimin」とインスリンの併用療法を評価した第3相「TIMES 3」試験で、良好なトップライン結果を得られたと発表した。
Imegliminとインスリンの併用療法は有効性に一貫性と持続性が
「Imeglimin」は、ミトコンドリア機能を改善するという独自のメカニズムを有しており、また、2型糖尿病治療において重要な役割を担う3つの器官(膵臓・筋肉・肝臓)で、グルコース濃度依存的なインスリン分泌の促進、インスリン抵抗性の改善および糖新生の抑制という作用を示し、血糖降下作用をもたらす。 同剤の作用機序は、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されている。 同剤は、世界保健機関(WHO)によって新たな化合物クラスである「Glimins」として登録されており、同クラスとして初めて臨床試験が実施されている化合物だ。2型糖尿病治療での単剤および併用による血糖降下療法で、幅広く使用される治療薬となる可能性がある。 「Imeglimin」の日本での第3相臨床試験である「TIMES」試験は3本の試験で構成され、1,100例以上の患者を対象に「Imeglimin」の有効性と安全性が検証された。「Imeglimin」がインスリンとの併用療法として、有効性に一貫性と持続性があることが示された。 「TIMES 3」試験の16週間、プラセボ対照、二重盲検無作為化試験では有効性が示されており、主要評価項目である16週時のHbA1cのベースラインからの変化量(プラセボ調整、平均値の変化量)は-0.60%となり、プラセボ群と比較して有意差(p<0.0001)が示された。 プラセボ対象を行っていない同試験の非盲検継続投与試験では、最初の16週間を完了した208例の日本人患者に、「Imeglimin」1,000mgを1日2回およびインスリンを36週間投与した。 継続投与試験完了時点のHbA1c減少率は次の通り――。・ Imegliminおよびインスリンを52週間投与された患者ではベースラインから-0.64%で(Imegliminおよびインスリン16週間併用後にImegliminおよびインスリンを36週間併用)
・ Imegliminおよびインスリンを36週間のみ投与された患者では-0.54%だった(プラセボおよびインスリンを16週間併用後にImegliminおよびインスリンを36週間併用) 「Imeglimin」の安全性および忍容性は、52週間全体を通して良好だった。最初の16週間、二重盲検、プラセボ対照試験で「Imeglimin」投与群において発現した治療による有害事象は、プラセボ群と類似していた。また、「Imeglimin」の36週間継続投与試験での安全性および忍容性プロファイルは、最初の16週間試験の結果と一貫していた。重篤な低血糖症の事象はみられず、報告された低血糖症の大多数は軽度のものだった。 「Imeglimin」の製造販売承認は2020年に申請される予定。Poxel社は、近日中に学会で第3相「TIMES 3」試験の全データを発表する予定だ。 TIMES試験(Trials of 「Imeglimin」 for Efficacy and Safety)は、2型糖尿病を対象とした日本での「Imeglimin」の第3相臨床試験。大日本住友製薬と同社が共同で実施しており、1,100人以上の日本人患者を対象とし、3本の臨床試験から構成されている。 「TIMES 1」試験は、日本人2型糖尿病患者を対象とした「Imeglimin」単剤療法による有効性、安全性および忍容性を検討する24週間、プラセボ対照、二重盲検、無作為化の第3相試験で、HbA1cの変化量を主要評価項目としている。副次評価項目は、空腹時血糖およびその他標準的な血糖・非血糖パラメーターとしている。主要評価項目と副次評価項目が達成され、トップライン結果が2019年4月に発表された。 「TIMES 2」試験は、日本人2型糖尿病患者を対象とした「Imeglimin」単剤療法および他の経口血糖降下剤(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、ビグアナイド薬、SU薬、グリニド薬、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン、GLP-1受容体作動薬)との併用療法による長期安全性および有効性を検討する52週間、非盲検、並行群間比較の第3相臨床試験。トップライン結果は、2019年末に判明する予定。 「TIMES 3」試験は、インスリン製剤を使用して効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象とした「Imeglimin」とインスリン製剤との併用療法による有効性および安全性を検討する16週間のプラセボ対照、二重盲検、無作為化試験、およびその後36週間の継続投与非盲検の第3相臨床試験。主要評価項目が達成され、良好な安全性および忍容性プロファイルが示された。トップライン結果は、2019年6月に発表された。 Poxel社(本社:フランス リヨン)は、2型糖尿病および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む代謝性疾患の治療に向けた研究開発に取り組んでいるバイオ医薬品企業。 Imeglimin(Poxel)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]