HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」 米国で閉塞性動脈硬化症を対象とした臨床試験を開始
2019.11.27
アンジェスは、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン筋注用4mg(一般名:ベペルミノゲン ぺルプラスミド)」につき、米国で下肢潰瘍を有する閉塞性動脈硬化症の患者を対象にした臨床試験を開始すると発表した。
グローバルな治療指針をふまえ下肢切断リスクの低い患者を対象に実施
「コラテジェン」は、慢性動脈閉塞症の潰瘍の改善を効能、効果または性能として、条件および期限付製造販売承認を2019年3月に取得し、同年9月に田辺三菱製薬から販売が開始された日本ではじめての遺伝子治療用製品。 同剤は、ヒト肝細胞増殖因子(HGF)を発現するプラスミドDNAであり、標的細胞である下肢の筋肉細胞内に取り込まれ、細胞内で転写・翻訳されて、HGFを産生・分泌する。HGFの血管新生作用によって、虚血部位の血管数と局所血流量を増加させ、虚血状態を改善する。 同社は、グローバルな治療指針をふまえて、これまで対象とした患者と比べて下肢切断リスクの低い患者を対象とした試験を実施し、米国での承認取得を目指す。 同試験では、約60例を集積する予定。第3相試験に先立ち、小規模な臨床試験で下肢潰瘍の改善効果を確認する。開発計画については、FDAと協議をし、合意を得ている。 閉塞性動脈硬化症のうち、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI、これまでの重症下肢虚血の新たな呼称)の治療に関しては、米国、欧州、アジア・オセアニアの血管外科学会の共同のもとにグローバルな治療指針(Global Vascular Guideline;GVG)が今年6月に公表され、患者のQOLの観点から病気の進行に合わせた治療が示された。 同指針では、臨床ステージを4段階(clinical stage 1~4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されている。今回の試験では下肢切断リスクの低いclinical stage 1と2を対象とし、この患者ではまず潰瘍の治療を考慮することが推奨されている。同ステージに該当する患者は全体の約60%とみられている。[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]