糖尿病患者のCKD進行を遅らせる新しい治療法 CREDENCE試験とSONAR試験は糖尿病腎症患者にとって吉報に

 欧州腎臓協会-欧州透析・移植協会(ERA-EDTA)が、糖尿病腎症患者を対象としたCREDENCE試験とSONAR試験の結果を受けて、「糖尿病腎症患者にとって素晴らしいニュースだ」とリリースを発表した。
SGLT2阻害薬とエンドセリン受容体拮抗薬は2型糖尿病患者の腎臓病進行を遅らせる
 CKD(慢性腎臓病)の治療はその病因により決定されるが、選択肢は限られている。CKDの進行に有意に影響し、治療介入が認められているのは、長らくRAAS(ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB))だけだった。

 そのため、SGLT2阻害薬が糖尿病腎症の管理において重要なブレークスルーとなることを示した報告は反響を呼んだ。世界の約8億5,000万人が腎疾患の影響を受けており、その3分の1にあたる約2億8,000万人が糖尿病が原因の腎不全患者だ。CKDの効果的な治療が待たれている。

 糖尿病腎症を有する2型糖尿病患者を対象にSGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用を検証したCREDENCE試験の結果は希望をもたせるものだった。「この薬で患者を助けられるというエビデンスを得られたことは喜ばしい」と、欧州腎臓協会-欧州透析・移植協会(ERA-EDTA)の理事長でイタリアの臨床生理学研究所の腎臓専門医であるCarmine Zoccali教授は言う。

 CREDENCE試験は、2014~2017年に日本を含む34ヵ国690施設で2型糖尿病患者4,401例を対象に実施された。尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)300〜5000mg/gCr、推算糸球体濾過量(eGFR)30~90mL/分/1.73m²の患者をSGLT2阻害薬カナグリフロジン投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付けした二重盲試験で、追跡期間の中央値は2.62年だった。

 カナグリフロジン群では、末期腎不全(ESRD)、血清クレアチニンの倍化、腎原因による死亡の相対リスクが34%低下することが示された(HR 0.66; 95% CI, 0.53 to 0.81; p<0.001)。さらに、末期腎疾患の相対リスクは32%低下し(HR 0.68; 95% CI, 0.54 to 0.86; p=0.002)、心血管死のリスクも低かった。同試験は予想を大きく上回る結果を残し予定よりも早く終了した。

 「慢性腎疾患の患者が他の多くの健康転帰、とくに危険な心臓合併症のリスクが高いことを知らない人はいまだに多い。透析に進展するリスクを減らすだけでなく、心血管の予後と生存率の改善にもつながる治療法が確立することが待たれている」と、Zoccali教授は言う。

 慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者で、高濃度のアルブミン尿がある患者を対象に、エンドセリン受容体拮抗薬のアトラセンタン、またはプラセボを経口投与して腎不全への進行抑制効果を比較したSONAR試験では、アトラセンタンが末期腎疾患と血清クレアチニンの倍化という腎疾患複合イベントを35%低下したという結果が報告された(HR; 0.65 [95% CI 0.49-0.88]; p=0.0047)。

 「2件の試験はどれも、糖尿病腎症患者にとって素晴らしいニュースとなった。新しい治療法が安全かつ効果的であると証明されない時期が長く続き、臨床に新薬を導入することはできなかったからだ。いまや我々は異なる治療目標で2つの新しい治療を行うことができ、それらを組み合わせることもできる」と、Zoccali教授は指摘している。

Novel therapies slow CKD progression in patients with diabetes(ERA-EDTA 2019年4月26日)
Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy(New England Journal of Medicine 2019年4月15日)
Atrasentan and renal events in patients with type 2 diabetes and chronic kidney disease (SONAR): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial(Lancet 2019年4月14日)
[Terahata]

関連ニュース

2020年03月05日
高齢糖尿病患者などで血糖コントロールが厳格過ぎる 低血糖リスクが高い可能性
2020年02月27日
SGLT2阻害薬の心血管保護効果は背景因子に関わらず有意
2020年02月20日
膵島抗体スクリーニングで小児1型糖尿病リスクを評価可能
2020年02月13日
NAFLD併発2型糖尿病患者の医療費が今後20年で6兆円――米国の推計
2020年02月06日
高齢1型糖尿病患者では重症低血糖が認知機能低下のリスク
2020年01月30日
isCGMで成人1型糖尿病患者の低血糖や欠勤が有意に減少
2020年01月23日
SGLT2阻害薬で痛風発症率が低下
2020年01月16日
歯周病の治療で糖尿病の合併症が減り、費用対効果がアップ
2020年01月09日
高齢2型糖尿病患者の低血糖リスクを3項目で評価
2019年12月25日
男性は運動により空腹時GLP-1が低下し糖負荷後の応答が改善

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶